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2007/09/08(土)
嵐の夜(2)
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嵐の夜(2)ロックとセリス
えー…わたしの旧作に、アルブルグでの2人のすれ違いを描いた小説があります。
「空に満天の星、は心の中は嵐」というモティーフで。
確かイカめ氏に差し上げたはずだけど遥か昔、まだホームページビルダーでサイト作ってた頃の話だから、データがね…無いです。
記憶を辿って再構築するつもりではおります…。お気に入りの話なので。
以下プチ妄想。
サウスフィガロから洞窟を抜けて、目前には砂漠が広がっていた。
「フィガロはもうすぐだな」 「…」 帝国の「元」将軍、セリスは無言ではあったが、視線をくれて寄越した。 ロックはそれをもって肯定の合図と見なし、一歩足を前に出した。
その刹那。
頬に、ぽつんと冷たい感触。 「…雨?」
見上げた途端、周りが白く霞むくらいの豪雨が降り注いだ。
「ちょ、ここ砂漠だろー!何だよこの雨!」 喚くロックを3秒間横目で凝視して、セリスは大きな歩幅で歩き出した。
「ま、待てよ!」 既に10メートル先にいたセリスがゆっくりと振り向く。 繊細な金の髪が、濡れそぼって鈍い輝きを放つ。
「何故?」 凛とした声で、問う。
「何でって……風邪引くぞ、とか」
ふ。とセリスは嘲笑にも似た息を漏らす。
「重要では、ない。今は進むことが肝要なのだろう?」
自らの身体よりも、任務を重んじて生きてきた彼女の信念、それはあまりに頑なで。
『帝国ってきちぃな』
いつか溶かせるだろうか。 その彼女の頑なを。
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