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2014/11/26(水)
お勉強会。
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週末、古在さんを召還して、目の前にテラフォ単行本11冊を積んで、バグズ2号編のDVDを見せ、合間合間に「冬コミに原稿かきませんか?」と念仏を唱えるだけの簡単なお仕事をしていました。 単行本のカバーをむくと服を脱いでる旨を伝えますと、躊躇無く10巻のカバー下を確認、のち「よく見えない…」とうちひしがれていました。お約束お約束。
アニテラ9話。 おそらく監督と筱さんの原画なので、超素敵。 聖書演出うまく入れたんじゃないかな、と思います。 でも。もう、そのアド嫁はいい。もうお腹いっぱい(泣)。 2週に渡って特別EDありがとうございます。 多分来週Aパートでトドメかな…(吐血)。
ほんと、先週はコミックス発売、DVD後編、本誌、アニテラ9話で、よく乗り切ったよ私…。
悲しみのあまり、唐突に慶次と艦長の話書き始めて、冬の無料配布にする予定なんだけど…慶次くん、鍋食わせてうたた寝させたら、起きなくて困った(苦笑)。
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「なんだ、それ」 「おにぎり。おむすび、とも言う。日本のソウルフード。あ、ミッシェルちゃんも食べる?」 「いや、そうじゃなくて…」 「武士の情けで、見ないであげて…」 ミッシェルの、驚愕とも侮蔑とも困惑ともとれる、なんとも言えない視線に気付いたのか、小町小吉は彼女が視線をむけている先の、自分の膝に頭を預けて眠っている男の顔の上に、背広の上着をかけた。 しかし、ミッシェルは自分の目に映し出されたものが、一度は信じがたく、背をかがめるとそっと小町の背広の上着を摘み上げてみた。 そこにあるのは、実に奇妙な光景だった。 鬼塚慶次。弱冠二十四歳。プロボクサーで、チャンピオンベルトも取った男で、けれども性格は穏和で謹厳実直。日本で会った時こそ軽くくだけた口調だったが、ミッシェルが火星開発計画の幹部であると知ると、日本人でもいまどきこんなにも、と思うほど折り目正しい態度で彼女に接していた。絵に描いたようなスポーツマン、と言っても過言ではなくて、その姿勢がミッシェルも好感を持っていたのだが。 やすらかな寝息をたてる、その彼の横顔の、頬に、額に、金属色を帯びた青や緑の、立派な三本ヒゲが描き込まれていた。ご丁寧に、眉あたりに数本描かれているのをみるに、おそらく参照動物として犬か猫をイメージしたもよう。閉られた瞼の上には、お約束にぱっちりと目が描かれ、顎のあたりに、大小の赤い三角が上下に連ねてあるのは、キスマークを模したものか。 「…………」 事態把握に数秒の空白を要し、そして更に一呼吸おいてのち、とてつもなく恐ろしい怪物でも見つけてしまったように、ミッシェルは表情を強ばらせたまま、こわごわと小町の上着を元のようにかぶせ直した。 「…何が…あったんだ…?」 「さぁ…。それは俺が知りたいよ」 小町小吉も、ミッシェルに負けず劣らず眉間の皺を深くして首を傾げるばかりだった。 火星開発計画の幹部二人が、更夜の空を仰ぎ大量の疑問符を生産するなか、極彩色のヒゲをはやした何だかわからない生き物になっている鬼塚慶次本人は、まったく平和な寝息をたてるばかりだった。 「とにかく、いつまでもここに転がしておくわけにもいかないな」 あらためて、まじまじと慶次の状態を観察してから、おもむろにミッシェルは自身の鞄をさぐると携帯用ウェットティッシュに似た小さなパックを小町の前に差し出した。 「この感じはペンとかじゃないだろう。多分、化粧品で描かれてる。化粧落としだ。この前の出張の余りだから、余ったら捨ててくれていい」 「さすがミッシェルちゃん!。ん?…って、ことは、これ女の子の誰かにやられたって事か」 「女かどうかは判らんが、おおかた罰ゲームか何かってトコじゃないのか」 ようやく調子を取り戻したのか、ミッシェルは小町にパックを渡し、大きく伸びをひとつ、 「じゃあ、それの処理はまかせた。私はもう寝る」 そう言って暗いラウンジに背を向けた。 「おーい、忘れ物ー!」 小町が、テーブルに置かれたペーパーボックスを取り上げると、ミッシェルは少しだけ振り向いた。 「私のじゃない。食堂のルカさんから預かった差し入れだ。明日、お礼言っておけよ」 「あ、そうなのか。でもミッシェルちゃんも、ありがとね」 廊下に消えて行くミッシェルが、応えるように軽く手を振るのを見届け、小町はあらためて箱を開いた。 ロゴも入らない味気ないテイクアウトバッグの白さもプラスチックのスプーンも、だが小町にはもう見慣れたものだった。中からスープの容器を取り出し、蓋をとればまだあたたかい湯気がたちのぼった。この別棟が建設される前にはよくこうやって本館の食堂に夜食の世話になったものだ。さして歳月が流れたというわけでもないのに、添えられたパンの堅さも、舌に染みいるやさしいスープの味も、どうにも懐かしく感じずにはいられなかった。 「最近、忙しかったからなぁ…」 闇から天地を造った神様でさえ七日目は休息を取ったというのに、彼の手によってなされた人間にはそんなサイクルは適用外なのだろうか。たしかに世界の全てを造ったという偉業にくらべれば、人のどんな功績も色褪せるだろうが。 そしてこの星の神は、あの星の神ではない。 記憶の遠くに蘇る、老練な声が呼んだ「ラハブ」…−それが、あの緑色の隣星の神の名。あの星で、水を溢れさせ、大気を広げ、緑の苔を地に這わせ、黒く光宿らぬ瞳を持ったテラフォーマーをつくり、バグズ一・二号乗組員達の、小町にとって唯一人の、愛した女性を、異国の名をもつ親友を、その地に沈めた神の名だった。 蛇に唆され禁断の実を食べ楽園を追われたアダムとエバは、それでもカインとアベルの兄弟にセト、その先には慰めの名のノア、他にも数多(あまた)の系譜を残していったが、火星の神は、小町小吉には、隣に添うべき何者をも残さなかった。
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ただのギャグになる予定なんだけどね…つか、端々にアホ感満載なんだけどね…。
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