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2005/11/03(木)
あの日
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ある日バス停で並んでいた。 後ろからあわてた様子で一人の女性が列に加わった。
(よかったぁ、間に合って)
一瞬俺の中で時間が止まった。
もう理想の女性そのものだった。
一目惚れという言葉では表せないぐらい、すべての細胞が活性化したような衝撃が走った。
同じバスに乗り、心地よいとさえ思える揺れを感じながら目的地まで行く。
何か話すきっかけを考えていた矢先、幸運にも同じ停留所で降りる事に。
そして、もう勢いというか、自然と彼女の方へ足は向かっていた。
何を話したか覚えていない。
普通無視されてもしょうがない状況なのに、彼女は嫌な顔をせず、快く話してくれた。
多分時間にして30分ぐらい。
今までで一番楽しく、幸せな時だった。
さすがに連絡先はまだ無理という事で、俺のを教える事に。
きっとまた会えるのを期待し、二人はそれぞれの家路に。
しばらく余韻に浸っていたが、少しだけ連絡先を聞けなかった事を後悔。
でもまたきっと会えると。
それから約一年、連絡は来なかった。。
積もりに積もったこのせつなさに、あの日活性化した細胞が完全な機能停止に陥ってしまったと思うぐらい、脱け殻状態な日々。
やはり縁がなかったのか・・・
そしてあの日から丁度一年が経過した夏の暑い日。
彼女らしき姿を目撃し、全速力で追った。
「待って!」
・・・声は届かなかったのか?
「サッフォー君?」
もう今までの憂欝な日々をすべて忘れ、今の気持ちを素直にぶつけた。
「初めて会った時から、ずっと君の事を考えてた。。。また会えて本当に嬉しい!好きです・・・変かな?」
彼女は一呼吸置き、語りかけた。
「これって運命なのかな?」
「・・・うん。」
「運命だと思いたい。」
そう。今日は七夕だった。
そして初めて出会ったあの日も・・・
あの日渡した連絡先は繋がらなかったらしい。
興奮のあまり間違えた番号を渡していたのだ。
それ以来彼女の方も気になっていたみたいだ。
お互いに切ない気持ちにさよならをし、運命という光に包まれそっと手をつないだ。
夜になり、一粒の流れ星が流れた。
まるで彦星と織姫が二人の再会に涙するかのように。
※これは半フィクションです
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