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2008/01/17(木)
ガラス
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元カレと、駅でばったり再会したY子さん。
相変わらずダンディなカレに、懐かしさとビターな甘さで胸がいっぱいになったという。 二人は十数年ぶりにお茶を飲んだ。
風のウワサで、カレはモデルをしていたY子さんの知人と結婚し、 その後、見晴らしの良い高台に豪邸を建てたと聞いていた。 仕立ての良いスーツ、チラリと見える高級腕時計、、、
Y子さんもまた、新たな男性と出会い結婚、 その後、本来の才能を開花させ、今では日本全国を飛び回るキャリアウーマンになっている。 何千人、いや、もっと沢山の女性が彼女のファンである。
昔話にはじまり色んな話で盛り上がった頃、 話題はお互いの現在に触れた。
『それで奥様は何をやってらっしゃるの?』
『ん?パートに出てるよ』
《それでね、百年の恋がさめたわ。》
この細やかな気持ちの部分、同性だけによくわかる。
《若い頃以上に素敵になった元カレなら、そこまで語らずともよかったの。 『女房は好きなことをやってるよ。』、、くらいのことで。》
うんうん、わかるわかる。
『生活がね、』
追いうちをかけるようなその言葉を聞き、 Y子さんはテーブルに置かれた伝票を掴んだ。
昔、愛した男
女は大切している。
その想いは、キラキラ光るガラスで出来ている。
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