|
2006/05/23(火)
<マサコの失敗>
|
|
|
2016年、マサコは暗いキッチンに悄然とすわっていた。 電気は止められて、もう、2ヶ月になる。 どうして、こんな事になってしまったのか。 後悔するのも、考えるのも、もう、疲れてしまった。 明日は、この家も出て行かなければならない。 借金の担保になっているのだ。
娘夫婦は立ち上げた会社が倒産してしまい、夫の郷里に夫の両親と同居するために行ってしまった。 次女の方は、結婚に失敗したあとニートで、喧嘩の末、「出て行け!」と言ったら、ぷいと出て行って、それっきり音沙汰もない。 ダンボールウーマンになってなければいいのだが・・・。
ああ、それもこれも、わたしがあんな会社に投資したから・・・ 豊かな老後を夢見て・・・ イケメンの営業マンの口車に乗って、投資した中国資本のIT株。 粉飾決算がバレて社長、逮捕。で、株価、暴落・・・。 あがけば、あがくほど、わたしの借金はどうにもならないところまで膨れ上がってしまった。
老老介護で疲れていたのだ。 あんなあぶない会社に投資するとは・・・ 母親は、施設に行ってもらうことにした。 「この、親不孝もの〜〜!わたしの貯金、返せ〜〜!この、盗人!」 どこまでも、口の達者な母である。
わたしの年金など、たかが知れている。 しかも、支給時期が延びて、まだ、もらえないのだ。 というより、社会保険庁は破綻寸前のようである。 このまま、もらえないかも知れない・・・ もう一つの私的年金の外資系の保険会社は倒産してしまい、掛け金は半分も返ってこなかった。 ビル清掃の仕事、居酒屋の皿洗いの仕事の安い時給、その給与を合わせても、月に10万くらい。 貯金も無し、病気にでもなったら、と、不安は尽きない。 国保も、未納ゆえに、停止されてしまったし・・・。 生活保護の申請をしようかと、 しかし、少子化、人口減少の影響で、税収の少ない国は、ビンボー人は切り捨てるつもりのようだ。 かつては年金より多かった生活保護費は、すずめの涙である。
というわけで、 あれこれ生きていく術を模索している今日この頃である。 が、最近、骨粗しょう症で、からだのあちこちが痛い。 ああ、健康にも自信が持てなくなってしまったわ・・・涙。
|
|
|
|