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2007/11/08(木)
西遊記
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平岩弓枝の『西遊記』を読んだ。 最初は今更という感が否めなかったのであるが読んで行くうちにはまてしまった。 何が一番よかったかというと平岩弓枝のオセンチな部分がいにしえの中国の古典にいいように作用しているのだ。 平岩弓枝というとかつて一世を風靡したホームドラマの金字塔『ありがとう』『肝っ玉母さん』をかいた人だ。 小説家としても直木賞を20代で受賞して一家を成している人であるが脚本家としても素晴しい実績をあげている。 彼女の真骨頂は義理と人情をてらいなく真っ正面からとらえる所でありその最も成功した例が前記のドラマであろう。 平成の今、現代劇においては彼女の義理人情はいささか古くさく感じられてしまうきらいがあるがいにしえの物語という設定が古さを古さとさせない。 孫悟空をはじめおなじみの登場人物がかつての『ありがとう』や『肝っ玉母さん』のおなじみさんと重なって来る。 読んでいてこれは水前寺清子だなとかこの神様は佐野浅夫がいいなとかまるで石井ふくこプロデューサーになったつもりでページがめくれる。 最近の小説はとかくななめに世間を見がちであるがたまにはこんな感じで真っ正面から義理と人情を描いた作品ですっきりと泣いてみるのもいいのではないだろうか。
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