マスターのひとりごと
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2007/03/11(日) 快晴の時
最近は冬に逆戻りしたような日が続いていた。
というかむしろ今年の暖冬からいえば冬より寒い日が続いていたと言ってもいいかもしれない。
今日はそんな寒さも吹き飛ばしてくれるような快晴。
空気は少し寒いけれどその寒さの中に秘められた凛とした気配がまたいい。
こんな日に店の中で表に出る事もなく仕事をする自分が少し哀しい。
職業とはいえ因果な物である。
年末、年始、無休で働く事にはもう随分前から馴れているのにこの季節の仕事だけは何年経験しても馴れる事がない
プロの自覚のなさを感じる時である。

2007/03/10(土) 整理整頓
確定申告が終わった。
例年のことであるがこの季節になると家中を引っ掻き回し去年の領収書探しに大わらわである。
整理整頓の悪い俺は毎回、机の中や本棚の間を這いつくばるようにして探し物と格闘する。
あるべき書類や高額の領収書が見つからないと泣きそうになって来る。
やがてその気持ちは整頓の悪い自分自身への立腹へと変化して行く。
きちんとその日の領収書はその日のうちにファイルの中に収納すればこんなに探しまわる事はないのである。
しかしわかっていてもファイルする手間をおしみ机の上に投げ出してしまう横着癖は直らない。
毎日きちんと整理する方が次の年に探しまわるより手間はかからないと承知の上での愚行である。
だから次の年にはまたぞろ探しまわるハメを演じているわけである。
そこで俺は決心した。
今年こそ整理整頓をしよう。
しかしそれが何日続くことやら決意した当日からはなはだ心もとない俺である。

2007/03/09(金) 汚れた靴
今日は昔アルバイトしていたsの近況を聞く事が出来た。
sは俺の店で長い間頑張って働いてくれた子だった。
将来自分もカフェを持ちたいというのがsの夢だった。
そのsがいきなり工場で働くので店を辞めさせて欲しいと言って来たとき俺はかなり強く反対した。
カフェの勉強はまだ完成されていたわけではないし肉体労働とカフェのセンスが俺の中で融合しなかったからである。
しかしかたくなに辞めることを主張したsは俺の反対を押し切って店から去って行った。
それから2年。
一向にsの噂も聞く事が無く月日は流れた。
そして今日の午後。
sが俺の店を辞めたあと工場も長続きせずそのあと暫くお世話になっていた居酒屋のご主人がコーヒーを飲みに来てくれたのだ。
最初は勿論sがその居酒屋で働いていた事など知るよしもない俺であったが色々話して行くうちにsの事を聞かされた。
その人いわくsはいつもぼろぼろになったスニーカーをはいていたとの事。
『穴とか開いてとても靴の体裁をとっていない靴だったなあ』
とその人は言った。
『捨てたらって言っても絶対捨てないって言うんだよなあ.何故なんだろう』
その人は聞いて来る。
『さあ』
と曖昧に笑って答えたけれどその理由を俺は知っていた。
それは俺がsに誕生日プレゼントとして買ってやった靴だったのだ。
会わなくなって2年近くたつが未だにsは俺が買ってやった靴を履き続けてくれていた。
それは訳も無く胸の内が熱くなって来た瞬間だった。

2007/03/08(木) こうしてビスQは生まれた
今から15年以上前、俺の店がオープンしたばかりの頃の事だ。
将来はフランス料理のシェフを目指して勉強している子がバイトに来ていた。
なかなか勉強熱心な彼は休憩時間でもカウンターで料理本などをめくっている事がよくあった。
ある時その子がデザートの一覧が載っているページをめくりつつ
『ビスキュイ』
と小さく言った。
『ビスキュイ』
とはデザートの甘い物の事をさすフランス語であるそうなのだがその時の俺の耳には
『ビスキュウ』
と聞こえたのである。
「何、それ?』
俺は訪ねた。
『ビスキュウってオバQの親戚?』
俺は愚かな事を聞き続けた。
彼は苦笑しつつ俺の勘違いを訂正してくれた。
けれど俺の耳に
『ビスキュウ』
という音が残ってしまったのである。
これで何か新しいケーキができないかと俺は彼に相談した。
すると彼はさすがはプロのシェフを目指しているだけの事はあって生クリームとカスタードクリームを和えた特性のクリームにキウイフルーツとビスケットを互いにはさみこんで構成して行く外見はティラミスみたいなケーキを立ちどころに考案したのである。
『ビスはビスケットのビス、キュウはキウイのキュウ』
そんな言葉遊び見たいなかんじで今や俺の店の一押しのケーキは誕生したのである。
後にイチゴを使用した
『ビスイチ』
も作ってみたがイチゴの甘さがクリームに今ひとつ馴染みきらずそれは何時しか立ち消えになった。
ちなみに『ビスキュウ』の表記が『ビスQ』である事は言うまでもない。

2007/03/07(水) カフェ蔵という犬
7年まえから一匹の犬を飼っている。
雑種のオスで名前は店名の『珈琲蔵』をもじってカフェ蔵という。
どうしてカフェ蔵というようになったのかそのいわれはまた後日説明するとしてこのカフェ蔵は雑種のくせに由緒正しい犬なのである。
どういうふうに由緒が正しいかというとこいつはお婆さん犬まで遡る事ができるのだ。
そもそもカフェ蔵のお婆さんは俺の店で10年くらいまえに働いていたバイトの男の子の家で飼われていた犬なのである。
白い大きな犬でそいつは無難に『シロ』という名前だった。
そのシロが子犬を生んだ。
生まれた子犬を違うバイトの子が貰った。
その貰われた子犬がやがて大きくなって子犬を生んだ。
その生まれた子犬がカフェ蔵なのである。
当初は貰い手が見つかるまで俺の店先で遊ばして置くつもりの軽い気持ちで引き取った犬だったのであるがどういうわけか他の兄弟は次々と貰い手が決まって行くのにこいつだけは一向に引き取り手が決まらない。
そうこうしているうちにすっかり大きくなってしまい婚期を逸してしまった。
以来俺の店を自分の家を心得て今日に至っているというわけである。
夕方の散歩を無上の喜びとし後は無欲に餌箱に残っている食べ残しを雀がついばみにきても頓着せずあくびをしている。
幸い小さいころから大勢の人にかわいがられて大きくなってきたので人見知りはしない。
いつも大きなガラス窓の向こうから店内の様子を伺っている。
お客さんからはそんなカフェ蔵が可愛いと大好評である。
犬を眺めながらコーヒーを飲むのも悪くないという人もいる。
しかし案外カフェ蔵からしてみたらそんな俺達人間を暇つぶしに眺めているのかもしれない。
今日も日だまりの中カフェ蔵が所在なげに店を見ている。

2007/03/06(火) ピアノ椅子が来た
16周年を記念して店の模様替えをした。
模様替えといってもささやかな物であるけれど。
店の中心に置いてある大きなテーブルを取り囲む椅子を従来のものから新しい物に変えたのである。
どんな椅子がいいかかなり以前から思案していたのであるがなかなかこれといったアイデアが浮かばず苦慮していたのだ。
そんな時不意に一つの映像が俺の中でひらめいた。
それはたおやかな女性が黒いピアノの前で優雅に演奏する姿であった。
楽器に関連する物って意外とおしゃれである事が多い。
繊細さと緻密さが同居しているのだ。
そこでピアノの演奏に用いられる椅子がいいのではないかという事になったわけである。
座面が紫のカバーでしつらえてありそれを取り囲むぐるりは漆黒に光っているピアノ椅子。
頑丈そうにできていて外見は華奢。
俺の理想はまさしくそんな椅子であった。
しかしピアノ椅子はかなり高価な物である。
おいそれと購入出来る代物ではない。
ところがネットで中古ではあるがほとんど使用されていない椅子が定価の5分の1で売りに出されている事を知った。
俺がすぐさま購入の手続きをとった事は言うまでもない。
こうして16周年のまにあうように椅子の模様替えは完成したわけである。
俺としては大満足の模様替え。
是非一度このピアノ椅子の座り心地をためしに来て欲しい。
優雅な気分に浸れる事は請け合い。
ちなみにこのオーソドックスなピアノ椅子の事を専門用語ではトムソン椅子というそうだ。

2007/03/05(月) 今日は誕生日
今日は誕生日。
といっても俺のではない。
俺の店のである。
平成3年3月5日生まれ。
16才になった。
人間で言えばこの春より高校性だ。
この16年をふりかえってみるとそれは長かったような短かったような物でとても一言で語ることはできない。
正直な話し、店なんか辞めたいと思った事も何度かある。
しかしその都度辞めるのは明日にしよう。
今日はもう一日だけ辛抱しよう。
そう自分に言い聞かせてやって来た。
俺は決して辛抱強い人間でもないしどちらかというと飽きやすく弱い人間である。
その弱い人間である俺がこうして16才の誕生日を迎えられたのは一重に俺を支えてくれた周囲の人の好意の賜物と思っている。
そんな当たり前の事を改めて考えさせられた今日の記念日であった。
こんどの目標は成人式だね。


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