マスターのひとりごと
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2008/11/27(木) 黄色い掌
昨日はインフルエンザの予防注射を受けに行った。
予め問診を受け、体に異常がない事を確認してからの注射となるわけだが血圧を測定中に看護士さんが
『あなた、みかん、よく食べる?』
と聞いて来た。
一瞬何の事を言っているのか理解できなかった俺は
『は?』
と思わず問い返した。
質問が唐突過ぎたと思ったのか看護士さんが
『あなたの掌、やけに黄色いから、そうなのかなぁと思って。みかんの美味しい季節になったし』
と、今度は噛んで含めるように言う。
『血圧は95と55。少し低いわねぇ』
看護士さんがそう言うのと俺が
『みかんなんか喰っていません』
と答えるのが同時だった。
言われてみると俺の掌は左右とも親指の付け根付近の肉がこんもりと盛り上がったあたりを中心に皮膚の下から黄色いシミが浮かび上がってきたようになっている。
そのシミは知能線や生命線の溝を跨いで小指の辺りにまで及んでいる。
あたかも何かの地図を掌全体に染め抜いているようだ。
にわかに色めきたった看護士さんは俺の顎をもちあげるようにして眼球を覗き込んで来る。
白目の色を確認しているのだ。
『目は白いわね』
看護士さんは安心したようにそう言ったが安心出来ないのは俺の方だ。
かつて肝臓を患った経験のある俺は黄疸の苦しみは良く知っている。
とにかく体がだるくてだるくてたまらなくなる。
皮膚がこんなに黄色くなるというのは黄疸でもかなり顕著なほうでここまで悪くなっていたら普通の生活は営めない。
しかし最近の俺は食事制限しているので足腰の力こそ出ないものの肉体は至って健やかだ。
どこもだるい所などない。
一時間、みっちりプールで泳いだあと更に自転車で山坂を超えてカラオケに行くほどなのだから。
しかし掌が変色している事は確かなのだから俺の体になにか異変が生じている事はまちがいない。
という事で採血をしてもらう事になった。
『検査結果は明日以降にわかるから』
看護士さんは不安そうな俺をなぐさめるようにそういってくれた。
そして不安な思いを抱えたまま今朝一番に病院に電話して検査結果を尋ねた所、なんの異常もなく健康そのものだとの答えが返って来た。
『コレステロールも無く奇麗な血でしたよ』
受話器の向こうで昨日の看護士さんはあくまで優しく言ってくれるのだがそれではこの俺の掌の黄ばみは何なんだ。
みかんでなくても野菜ばかり喰っていたら肌が黄ばんで来るのだろうか?
トマトジュースをかなり飲んでいるので紅くなって来るというのならわかるのだが。
誰か教えて欲しい。


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