マスターのひとりごと
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2009年9月
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2009/09/14(月) くしくも同じ日
俺がまだ太っていた頃、いよいよ入るパンツがなくなった。
そんなある日、父の墓参の帰り、墓地の近所で廉価なオーダーメイドの店を発見した。
これも父の導きと思い、以後、生地を持参で何度か作ってもらった。
去年の秋の話しだ。
すでにダイエットは始めていたのだがそれでもここまで痩せるとは思っていなかった俺は冬用の生地を持ってその店に行った。
『お目にかかるたびに痩せられるので寸法をその都度、測らなくてはね』
と店の人に笑われた。
50過ぎの気のよさそうな小太りのおばさんだ。
かつてはどこかの大手の衣料ブランドの縫子さんをしていたらしくて裁縫の腕前は折り紙付きだ。
それが証拠に小さな店のわりに注文はひきもきらず入って来るらしく、いつも
『もう少し待っててください』
と催促する俺にそのおばさんは元気の良い声で言い訳をしていた。
だから今回も出来上がったら連絡しますと言ったきり春になりいつしか夏がきても連絡がない事にさほど不審に思わなかった俺だ。
その間も俺はひたすら痩せ続けオーダーメイドではなく既製品が充分入る体型になった。
切羽詰まっていなかったのも俺が催促を怠っていた理由の一つなのだがさすがに夏が終わろうとしている今、いくらなんでもと思い、昨日、その店に電話した所、いつもの元気のいいおばさんの声ではなく違う女性の声が受話器から流れてきた。
妹さんと共同でやっているという事をきいていたので妹さんだと思い
『珈琲蔵ですが昨年お願いしておいたパンツは、、』
と言い終わるやいなや
『姉は先日亡くなりました』
という返事が返ってきた。
聞く所によると突然の脳出血であっというまに亡くなったらしい。
お姉さんの腕で持っていたその店は9月一杯で閉店するらしく預かっている生地は取りに来てくれたらいつでも返却してくれるという。
俺のパンツは半分以上出来上がっていたらしくて
『こんど来られた時にまた痩せられててもうこれは、いらないなんて言われるかもね』
とおばさんは笑っていたと妹さんから伺った。
半分だけできたパンツを引き取りにいくべきかどうか今、迷っている。
くしくもそのおばさんが亡くなったのは8月29日で俺の48回目の誕生日であったらしい。


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