マスターのひとりごと
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2010/10/26(火) タウン情報掲載
11月号の『タウン情報岡山』に『珈琲蔵』が掲載された。
オトコのグルメバイブルというテーマでどうやら読書ができる店を中心にピックアップしているようだ。
115ページなので是非、ご興味のある方は見てください。

なお、巻頭のほうにマチのイケメングランプリというのが掲載されていて、俺はそちらのほうにやや興味を引かれてしまった。
しかもエントリーされているうちの一人は知人だし、、、

次回はイケメンマスターの特集で掲載されたいものだ。
あくまで50歳代としてだけど、、、

2010/10/24(日) スクランブルエッグサンドイッチ
なにかシンプルで手早くできて、それでもって美味しいものはないかとつねづね思ってた所、ある人から『スクランブルエッグのサンドイッチ』が食いたいと言われ、その時はそんなものはないとお断りしたものの、それが、頭から去らず、考えるともなく考えていた所、よりシンプルに塩胡椒と、若干の生クリームだけを使ったスクランブルエッグが出来た。
それを手始めに俺がパンに挟んで食った所、もの凄く美味しい。
それならばと言う次第で10月中はお試しに無料で皆さんに召し上がっていただき、11月から正式に新メニューとして登場する予定だ。
よければ、無料ですので10月中にお試しを、、、
できれば11月以降も450円で召し上がって下さい。

2010/10/22(金) 32年ぶり
羽田空港の国際線ターミナルが開通になった。
俺がこの空港を国際線として利用したのはイギリスとフランスに行った昭和52年だから、ちょうど33年前になる。
と、言う事はこの空港が国際線として機能していた最後の頃だ。
その時の空港の印象は全くと言っていいほどのこっていない。
とにかく初海外旅行で、しかも一人旅と言う事で緊張しまくっていたせいだろう。
昨日のニュースでチラリと、中央のような場所にエスカレーターが通っている画像が見えたが、長いエスカレーターを登った記憶はある。
その時、誰か前に並んでいた大人に
『ここを登り切るとそこからはもう日本じゃぁないんだぞ』
と言われ一気に恐ろしくなったものだった。
あの時はまだ、ヒースロー空港まで一気にいかない時代で、途中、アラスカで休憩したものだった。
その時、待ち時間を利用して『アラスカ名物キツネうどん』(何故か空港の壁にそう書かれていた)なるものを食した。
アラスカで捕獲されたキツネでも煮込んでいるのかと興味津々で食したところ、なんのことはない普通の油揚げが二枚はいっているだけでがっかりしたものだ。
そういったどうでもいい記憶は鮮明に残っているのだが、、、
今度、海外に行く事があったらしっかり記憶の襞に刻んでおきたい。
そんな事を思いつつ、32年ぶりの国際線の復活を喜んでいる俺だ。

2010/10/14(木) 今日の事
今日はフリーペーパーの取材があり、色々写真を撮られた。最後は記者の女の子とのツーショットまで撮られ、なんか緊張したなぁ。
というわけで今日の小説です。

   マスターができるまで  3


有馬温泉から帰ってしばらくしての事だ。
祖父がバイクに跳ねられた。
さわやかな5月の夕方であった。
俺を連れた祖父が、餅屋の主人と店頭で立ち話に興じていた時にその事故は起きた。
相手は前方不注意の銀行の外回りのバイクであった。
当時、祖父は、現役を退いて隠居暮らしをしている商店街の旦那さん連中と『ゴジャヤマ倶楽部』という趣味の会を結成しており、野崎邸の番頭さんなどを頭にすえ、趣味の話しにうつつを抜かす贅沢な日々を過ごしていた。
その日も次回の例会に用いる赤飯の事で餅屋を訪ねていたのであった。
餅屋がお世辞に俺の事を可愛いと褒めたからか、軒先につくっていた燕の巣を俺が珍しがったからか、まっすぐ帰れば良かった物を店先で長話に興じていた矢先の事故であった。
祖父の話しに退屈していた俺は片手を祖父に握られたまま向こうから走ってくるバイクの気配に気がついていた。
ちょうど道の曲がり角に位置していた俺達の気配がバイクからは見えなかったのかもしれない。
スピードを落とす事もなくバイクは俺達のほうに接近してきた。
あっと言う間のことだった。
バイクが突っ込んで来た瞬間、祖父は俺を横抱きにして、地面にうずくまるような姿勢をとった。
俺は何が起こったのか理解できなかったが頭上にのしかかった祖父の体の下で餅屋の狼狽した声とバイクの若い男のオロオロした声にただならぬ気配を察し、火がついたような声で泣きはじめた。
ぶつかった本人の祖父はその泣き声で俺のほうに怪我があったのかとよろよろと起き上がり
『善洋ちゃん、どこかあたったんか?』
と聞いて来た。
祖父の体がなくなり視界が開けた先には俺達のまわりをうろうろする蒼白な顔の銀行員の姿が見えた。
『先生、肘の所から血がでようりますよ』
餅屋の声で始めて祖父は怪我をしたのが俺ではなく自分であった事を悟ったようであった。
『ワシは大丈夫じゃ』
祖父は虚勢をはった。
俺が無事だった事で気が大きくなっていたのだろう。
祖父はそんな男であった。
銀行員は平謝りに謝っている。
『あんた、どこの銀行のもんじゃ?』
祖父が聞いた。
銀行員はまだ学校を出て間無しのような若者であったが意外としっかりとした声で地元では一番知名度のある銀行の名前をあげた。
『しっかり前をみとらんか。
 このアンゴウが』
餅屋の怒声を遮るように
『ええ、ええ
 見たらまだ若いもんじゃ
 こがなことで将来に傷をつけたらワシも寝覚めが悪い。
 こらえてやるから、いになさい。』
とお大尽風を吹かした。
『先生、そりゃあ、いけん。』
かつて、その銀行に融資を申し込んだ所すげなく拒否された経験のある餅屋は江戸の敵を今こそ打たんとばかりに、事の理非曲直を申し立てた。
ノリのよくきいたパリっとした祖父の白いワイシャツが次第に出血で赤くなって行くのを見ていた俺はこのまま祖父が死んでしまうのではないかという恐怖にかられもう一度激しく泣きはじめていた。


*アンゴウ バカとかアホと言う意味
*いになさい 帰りなさいと言う意味

2010/10/13(水) ご無沙汰
最近、自伝的小説を書いている。
最初は軽いノリで書きはじめたのだが、執筆が進むにつれ、記憶が掘り起こされ、次第に長い物になって来た。
すでに、この世にいない祖父母や父に捧げる鎮魂歌になればと思いつつ、日々、執筆に励んでいる俺だ。


  マスターができるまで  2



ゆうさんには鉄工所に勤める息子がいた。
それも祖父が斡旋したらしいのだが祖母は詳しくは語らなかった。
自慢の息子で俺の家の風呂釜が故障したとか、ベランダに冊を作るとかいう大工仕事を頼むときはゆうさんが喜々とした顔で祖父の隣に立って陣頭指揮をしていたものだ。
その息子に縁談話が持ち上がった。
相手は兵庫の山奥の人らしい。
ある時、ゆうさんが思い詰めた顔でやって来た。
『奥様と先生にあつかましいお願いがあるんですが』
ゆうさんは風呂敷に包んだ祖父の好物の塩羊羹を出しながら言う。
兵庫の山奥まで、縁談相手の身上の聞き合わせに自分と一緒に祖父に行って欲しいというのだ。
お茶を出すために膝立ちになっていた母は一瞬たじろいだ。
老いたとは言え、男である祖父と、泊まりがけの旅行に行こうと言っているのだ。
母は当然、祖母がその話しを拒否すると思ったらしい。
しかし、祖母はさらりと塩羊羹を自分のほうに引き寄せながら
『お話はようわかりました。
 主人の都合のええ時にお供させますけん。』
と答えた。
むしろ当惑したのは祖父のほうであったが祖母の
『日頃、お世話になっとるゆうさんの頼みじゃもの、行って見極めてきてあげなさい』
という勧めに、次第が気分が大きくなってきたのか
『ワシの目は確かじゃけぇなぁ』
などと言い出した。
その後、祖母は涼しい顔をして有馬温泉に旅立って行く祖父とゆうさんを見送った。
父や母は
『人目もあるがな』
と祖父の有馬行きを最後まで渋っていたが祖母は恬淡とした表情で
『アホらしい。
 ゆうさんとやこう』
と取り合おうとしなかった。
旅から帰って来た祖父は何か聞きたそうな顔をしている父をみるとことさらに
『ゆうさんとやこう、何にもあるはずがないがな』
と笑い飛ばし、照れ隠しのように俺を担ぎ上げ
『善洋ちゃん、おじいちゃんがおらんで寂しかったか?』
と聞いてきた。
するとそれまで祖父や父の話しなど聞いていないような顔をしていた祖母が
『寂しいわけないがなぁ。
 おばあちゃんがおるんじゃけん』
とさらりと言った。
にわかに祖父は苦虫をかんだような顔をした。


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