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2011/05/25(水)
見極めるには
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ようやく久留米の卵が2つ2血統孵化しました。 1つは10番血統の86.1mmとインラインの幼虫です。これをちょうど孵化したばかりの山梨のF1個体と比べてみると、既に頭部の大きさに差がありますね。 初令の時はコンマ数mmの違いですが、これが加齢して行くと頭部のみならぬ、長さが全然違ってきます。何処から大きく変わるかと観察すると、卵が生まれた段階は違いは分かりませんが細胞分裂で大きくなるに従い、卵の大きさに差が出ます。 以前生物発生学の本を読んだことがありますが、これはイモリの例でしたが心臓ができてから、前後左右の方向性が決まり、感覚器官ができます。このときに体の大きさも決まってくるわけですが、その段階で既に差がでてくるんでしょう。 このような差は、まさしく遺伝子の設計図の違い、いわゆる血統の違いです。
いくらいい環境があっても、その個体には大きくなる限界があります。これを引き出すのがブリーダーの腕です。なので、皆さんまずはいい種親を揃えるわけです。 逆に言えばこれが揃えば、大型を作り出すのは目の前です。
私が大型個体に真剣に取り組み始めたとき、国産オオクワは産地間での差を楽しんでいる方がほとんどでした。 その頃まだ誰もやっていないようでしたので(情報があまりなかったので、たぶんですが……)有望なオスに複数のメスを掛け合わせ、それをできるだけ比較できるようサンプル数を増やすために、大型になるであろう血統に絞ってみました。 これで血統背景がどれだけ大切なのかが、痛いほど分かったわけです。さらに、その情報は自分で飼育して経過をみないと深い部分は得られないと感じましたね。 その結果からいい傾向が出てきたのがギネスが出た年の2006年ですが、当時80mmアップを20頭以上出している方は、それほどいませんでしたので、これを昆虫フィールドに掲載させてもらいました。 なんか自慢ぽい文章になってきてしまいましたが(汗)、この頃から同じように大型血統に的を絞って同じようにブリードする方が増えてきました。 私はただ人より先にこの大型血統の的の絞り方を試しただけですので、今ではブリード上手な方たくさんいますから、先を越されるのも時間の問題でしょう。
前置きが長くなってしまいましたが、人より先に行くには血統の見極めが重要になります。例えば添加剤 をいくら多くして高栄養価にし、重い幼虫を出しても羽化サイズに結びつかせるのは、先ほど書いた個体の限界があるので、これだけでは血統は作れないのです。 それよりも温度や産卵時期など、成虫が安定して大型化する環境と腕を身につければ、血統の選定はしやすくなります。 簡単に書いてますが飼育の安定を何年も継続させるのは、相当大変ですよ〜。 今シーズンは期待できる種親を購入いただいた方が大勢いらっしゃいますので、その種親からぜひ数年後に90mmを出してください。
さて、私は……自己採集個体から大型血統確立させていきたいですね。こっちは血統の見極めもやってみなければ分からないし、ほとんどその片鱗も見えないし、血の入れ替えのためにお山に通わなければならないしと相当長い道になりそうです。
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