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2014/07/18(金)
1609 松飾り
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「初めてです。こんなに暇なの」 大体、月一で訪れる駅近の居酒屋さん。 「やっぱり週末でないとダメなんですかね…… 」と店を仕切る男性。
満席で弾かれることもあった。昨夜はカウンターに先客ゼロ。「おい大丈夫かい」
こんなに客がいないと、ただちに手元に注文の品々が届くのがうれしい。生ビールはすぐ来て、喉をうるおしてくれた。ところが鯨の刺身がなかなか出てこない。
彼は、ここに不似合いなよく切れそうな包丁を振るっている。「お待ちどうさま」と差し出された皿にはキュウリの飾り切りの松飾り。「腕がなまるといけないので」
♪包丁一本、さらしに巻いて、旅に出るのは、板場の修行♪ 古い歌謡曲を思い出した。仙台でホテル、料亭での修業を経て洋食の経験もあるとか。
松葉の1本1本にも神経が行き渡っている。さらに「大根もしゃきしゃきしていたでしょう」 残らず口にしていた。念入りに晒したんだとか。
昭和レトロな店でコの字型のカウンターの中に彼がいる。様々なタイプの店を経て、今のお客と対面できる気取らない構えが一番気に入っているとか。
水を得た魚のように生き生き接客する姿は見ていて頼もしい限り。そして遊び心がうれしい。その後、ファンと思しきお馴染みが増えたのは当然と言えば当然か。
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