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2018/01/04(木)
2870 多国籍
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3日、私達にとって深夜。女房の帰宅を待つ時間、チャンネルをいじくっていた。 すると予期せず大写しになったカズオ・イシグロ氏。「薄らいでいく日本の記憶を、保存したくて」。第1作の動機を「カズオ・イシグロ白熱教室」で語っていた。
クレジットは見てない。撮影がいつで、日本か英国かも分らない。聴衆は50人足らず。国籍も多彩。学生、研究者、一般人もいるようだ。高い椅子に腰掛けて、穏やかに語りかけ、エンディングは本屋のサイン会のようにも見えた。
帰国することが了解事項で、5歳まで生まれ育った長崎の路面電車の通る機械音、景色、空気感などのこまやかで限られた記憶は、英国と日本との狭間で成長していく葛藤の中で、小説へと昇華していくわけだが……
25歳で第1作を世に出し27歳で読み返し、当時脚本書きをして彼は「台詞とト書き。脚本のようだ」と振り返った。日本を舞台にした特殊な作家と見られることへの反発から英国を舞台に「日の名残り」へ。映画化は当然だったか……
平たく言えば、5歳までの記憶で日本を舞台に小説!? との戸惑いが拭えなかった。しかし、家では日本、一歩外に出れば英国という特殊な環境の中で記憶が磨かれたのか、と私なりの解釈で納得できた夜でした。
突然倒れた親類。駆けつけた女房が帰宅したのは午後11時過ぎ。戸惑いが払拭され、さあ第1作「遠い山なみの光」を読もう…… 当然のように睡魔が。
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