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2021/03/04(木) 親友になった
 晴天で津南へ向かう。郵便局での用事や買い物を終えて帰って来る。道は春の風でほとんど雪はなくおんぼろの車でも快調に走って来ることが出来た。
 帰りに車を止めて雪の斜面を下るのだが腐った雪がずぼずぼと足を引っ張り込む。重心を落して尻もちをつけるように下って来た。足の痛い友人が来るというので少し雪を片付けなくてはならないなと下りて来ると、件のカモシカがこちらに背を向けて草でも食べている風情だった。見ていると気が付いたのか首を回して私を見た。雪が消えたところには草やフキノトウも出始めたのだ。しっかり食べろとエールを送って堰堤まで下りて来ると、奴さんゆっくり斜面を上がって仁成館の下まで歩きだした。雪の上に来ると前足を雪に取られて首まで沈み、後ろ足も同じように雪のなかへ消えた。ゆっくりとした歩き方なのだがまるで私が四つん這いになって雪の上を登るように思えるのだ。奴さんも独行で私もひとりでの雪のなかの暮らしを思うと、同じ生き物としてとても心が揺さぶられた。多分奴さんも私の雪の作業をそうやって見ているのだろうと、連帯感を抱いた。なんやかんやで小一時間もお互いそうやって見つめていた。切りがないのでもっきりやに戻って双眼鏡で探すのだが、雪の無いところに上ったカモシカは隠れでもしたのか見つけることが出来なかった。


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