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2004/10/16(土)
JAZZの愛聴盤-9
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最近仕事の関係で外に出ることが多いのだが、ふと空を見上げて、その美しさに息を呑んでしまうことがしばしばある。 そしてその青のなかにうろこ雲やすじ雲といった秋の雲がみごとな造形と繊細な線で浮かんでいる。 思わず仕事を忘れてそのまま見上げていたくなるような10月の空である。 こういうときは夜空もほんとうに美しい。 みなさんの街はいかがですか。
こんな秋の夜にはやはり「星降るアラバマ」を聞こう。 オリジナル・タイトルは「Stars Fell on Alabama」、「アラバマに星墜ちて」ともいう。 演奏するのはキャノンボール・アダレイ・クインテットである。 ジュリアンという繊細そうな名前を持つこのアルト奏者は、その巨漢ゆえに「キャノンボール」あるいは「ハンニバル」と呼ばれた(可哀想な話である)。 ぼくはその汗の飛び散るようなキャノンボールのアルト・サックスがそれほど好きではないのだが、マイルズ・デイヴィスのバンドにコルトレーンとともに在籍したときのキャンノンボールは文句なくいいと思う。
このアルバムは、そのマイルズのセクステットが1959年2月にシカゴに遠征したときに、ボスのマイルズ抜きでマーキュリー・レーベルに録音されたものである。 したがってパーソネルはキャンノンボール(as)、コルトレーン(ts)、ウィントン・ケリー(p)、ポール・チェンバース(b)、ジミー・コッブ(ds)ということになる。悪かろうはずがない。
演奏は「Limehouse Blues」で始まり、すでに1曲目からキャノンボールとコルトレーンのお互いに一歩も引かないサックス・バトルが繰り広げられる。しかしお互いに気心が知れているから、じつに余裕のあるバトルになっている。 A面B面それぞれ2曲目にはキャノンボールをフューチャーした「星降るアラバマ」と、コルトレーンをフューチャーした「You're A Weaver of Dreams」というバラードが並んでいて、この2曲がいずれも劣らぬ名演であるのもいい。 そして言わずもがなであるが、こういうときのウィントン・ケリーはほんとうに素晴らしい。
59年2月といえばマイルズが『カインド・オヴ・ブルー』を吹き込み、コルトレーンが『ジャイアント・ステップス』を録音する直前である。 そういう稀有な時期にこんなリラックスしたセッションがもたれたことをぼくは僥倖に思う。
CANNONBALL ADDERLEY QUINTET in chicago MERCURY MG-20449
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