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2004/11/23(火)
JAZZの愛聴盤-10
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ビートルズのキャピトル・ボックスあたりで盛り上がっているうちにもう11月も下旬、街にはクリスマス・ツリーもお目見えだ。 できれば月に2枚は紹介していきたいと思っているこのコーナーなのだが、前回から1か月以上も間が空いてしまった。
さて冬の寒いときにはやはりジャズ・ヴォーカルがお薦め。 今回はビリー・ホリデイのJATPのライヴをご紹介します。
ジャケットを見ていただきたい。
これぞデイヴィッド・ストーン・マーティンの最高傑作だと思っている。 この絵を初めて見たときは、ほんとうに震えた。こんなすごい絵があるのかと思った。 無駄を排した単純な線だけで成立した絵。そこに描かれているのは、 脱ぎ捨てられた服、投げ出された送受器、ベッドに顔をうずめる裸の女……。 ただそれだけなのに、この絵はいいつくせぬほどの物語をぼくに語りかける。
この絵のモデルはマーティンの奥さんだそうだ。 けれども不世出のジャズ・シンガーと評価されながら、けっして幸福とはいえない人生を送ったビリー・ホリデイ自身の姿とどうしても重ねてしまう。 いずれにしてもジャケ買いして損のない1枚だ。
戦後のビリーは好不調の波が激しくアルバムの出来もかなりの差があるが、このときのビリーはすごく調子がよさそうだ。 1曲目の「ボディ・アンド・ソウル(身も心も)」のテーマからしてフェイクで入る。 こんなに軽やかなビリーの歌声を聴いていると、こっちまで幸せな気持ちになってくる。 「ビリー、よかったね」と訳もわからず声をかけたい気分になる。 彼女の代表曲である「ストレンジ・フルーツ(奇妙な果実)」、彼女の体験を歌った「トラヴェリン・ライト」、そのほかにも「ヒーズ・ファニー・ザット・ウェイ」、「ザ・マン・アイ・ラヴ(わたしの彼氏)」「オール・オヴ・ミー」など珠玉の名曲ぞろい。 バックもハワード・マギー(tp)、バック・クレイトン(tp)、ウィリー・スミス(as)、レスター・ヤング(ts)、イリノイ・ジャケー(ts)、ウォーデル・グレイ(ts)、チャールズ・ミンガス(b)とノーマン・グランツらしい豪華なメンバーだ。
BILLIE HOLIDAY AT JAZZ at the PHILHARMONIC CLEF RECORDS MG C-169
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