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2004/04/05(月)
『ショーシャンクの空に』
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『ショーシャンクの空に』のDVDが廉価再発売されたので、 フランク・ダラボン3部作の一気見というのを計画した。 今日はその第1弾『ショーシャンクの空に』である。
いやあ、やっぱり素晴らしい。 抑えた静かな語り口と光と影のコントラストを生かしたカメラ。 よく作家はその処女作を超えられないというが、フランク・ダラボンもこの処女監督作を超えるのは難しいのではないかという気がする。
この映画が成功した第1の理由は、モーガン・フリーマン演じるレッドを語り手に選んだことではないだろうか。 (スティーヴン・キングの原作を読んでいないので、これが原作と同じ設定なのか、脚本も手がけたダラボン監督の意図なのかはわからないが。)
文学作品では、語り手というのは文字通り、「むかしむかしあるところに、じいさまとばあさまがありました」と語り始める人物のことで、一般には登場人物とは離れて時間や空間を自在に行き来する。
けれどもこの映画ではレッドを語り手に設定することで、牢獄という閉ざされた空間のなかで、ティム・ロビンス演じるアンディーを中心にした受刑者たちの物語が静かに進行することになる。
クライマックスのサスペンスもレッドの視点で観ているからハラハラさせられるし、刑務所の所長と看守長という、主人公たちにとって一番関わりの深い二人の人物が揃いも揃って純粋な悪人だったり、周りの受刑者たちがみな善人だったり(笑)、突っ込みたいところはいろいろあっても、レッドの立場から見た物語だと考えれば観客は納得することになる。 アンディー以外の人物も丁寧に描かれていて物語に深みを与えている。
この映画を観るのは3回目だが、やっぱり運動場でみんなが身じろぎもせずにスピーカーから流れる『フィガロの結婚』のアリアを聴くシーンでは、思わずうるうるなってしまいました。
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