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2004/05/19(水)
JAZZの愛聴盤
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今日から不定期にJAZZの愛聴盤というシリーズを立ち上げたいと思う。 栄えある第1回はドナルド・バード『フュエゴ』。
ジャズのトランペッターでだれが一番好きか?と尋ねられたら、ぼくは躊躇なくクリフォード・ブラウンと答える。 じゃあ、無人島に1枚だけジャズのレコードを持っていくとしたら? 『カインド・オブ・ブルー』。 なんだマイルスじゃん。ブラウニーじゃないじゃん。 そうなんですよ、アルバムという単位でみたばあい、その完成度からいうと圧倒的にマイルスのアルバム群はすごい。みんな完成されている。そのなかでも一番すごいと思うのが『カインド・オブ・ブルー』。30年聞き続けているが飽きない。 話がずれてしまいました(笑)。
さて、天才トランペッター、クリフォード・ブラウンが自動車事故のためわずか25歳でこの世を去ったあと、このポッカリと空いた巨大な穴を埋めるのはだれか、ということが話題になった。1956年のことである。 そしてそこに現れたのがリー・モーガン、ドナルド・バード、フレディー・ハバードという3人のトランペッターだ。 50年経った現在の眼で見れば、もっともブラウニーの輝かしい業績に近づけたのはリー・モーガンだろう。デビューしたときわずかに18歳。けれども輝かしい音色、豊かな歌心、完璧なテクニック、そしてとても十代とは思えない抒情性、どれをとってもリー・モーガンは一等抜きん出ていた。 そしてファンキーから新主流派、さらにはフリー・ジャズまでもっともフレキシブルに活躍したのがフレディー・ハバードだ。
でも、個人的に一番好きなのはドナルド・バード。バードが参加しているとついつい聞いてみたくなる。そしてがっかりすることもけっこうある。バードは好不調の波が大きいのだ。 たとえば名盤のひとつに挙げられることの多いレッド・ガーランドの『ソウル・ジャンクション』。リーダーのガーランドは申し分ない。1曲目の表題曲からガーランド節全開だ。コルトレーンも絶好調でバリバリ吹きまくる。でもバードはダメ。へろへろである。 告白してしまえばへろへろのドナルド・バードが好きだ。いや、へろへろなこともあるバードがいとおしい、というべきか。しかし『ソウル・ジャンクション』のバードは全くダメ。イマジネーションのかけらもない、気の抜けたビールのようなソロである。
ところが絶好調のときのバードはすごいのだ。輝かしい音色と豊かな歌心、聴き手の懐にぐいぐいと迫って、これでもかとソウルフルなフレーズをつきつける。 特にB面の「ロー・ライフ」「ラメント」「エイメン」の3連発。 バードの絶頂期がここに刻まれている。
DONALD BYRD "FUEGO" BLUE NOTE BLP4026
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