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2004/08/25(水) JAZZの愛聴盤-7
夏の熱い夜にはホットなホットなジャズを(笑)。
ホーギー・カーマイケルの「スター・ダスト」はスタンダード・ナンバーとして多くのジャズ・プレイヤーに取り上げられてきたが、数ある名演の中でも一番忘れがたいのが、この1947年8月4日の「ジャスト・ジャズ・コンサート」におけるライオネル・ハンプトン・オール・スターズの演奏だろう。



とにかく最初から最後まで聴衆を捉えて離さない演奏の連続で、聴衆はいたるところで歓声を上げどよめいている。

ライオネル・ハンプトン(vib)のシンプルで美しいイントロに続いて、まずウィリー・スミス(as)がソロを取るが、その出だしのフレーズの情緒連綿たるトーンでもう客席はどっと沸きあがる。ダチョウ倶楽部ではないが「つかみはオッケー」である。ウィリー・スミスはスイング時代にジョニー・ホッジス、ベニー・カーターと並んで3大アルトと呼ばれた名手であるが、ややオーヴァーともいえるアクセントで聴衆を釘づけにしてしまう。
つづいてトランペットのチャーリー・シェイヴァース。まず出だしのフレーズが素晴らしい。低音を主調とした落ち着いたトーンながら、ときどきユーモラスな効果音的な音をはさみながらのソロで、聴衆は大喜び。
3番手はテナー・サックスのコーキー・コーコランである。コールマン・ホーキンズの流れを汲む名手だが、ヴィブラートの効いた軽やかで伸びのあるトーンで、速いパッセージとゆったりとしたフレーズの対比も巧みだ。
次のソロはベーシストのスラム・スチュアート。弓弾きしながらその1オクターブ上をハミングするという独特のスタイルで40年代には大変人気のあった人だ。ここでもハミングのなかにこっそり「マネー、マネー」ということばを織り交ぜて聴衆を喜ばせたり、サーヴィスたっぷりのソロである。
つづいてピアノのトミー・トッドとギターのバーニー・ケッセルが半コーラスずつソロを分ける。ケッセルはジャズ・ギタリストとして1、2を争う名手だが、このころはまだ新人だった。彼のソロだけがバップ・イデオムに基づいているのも微笑ましい。
そして最後に真打、ライオネル・ハンプトンの登場である。
とにかくこのソロが半端ではない。15分の演奏時間のうちなんと6分に及ぶソロであるが、あとからあとから、次から次へと素晴らしいフレーズが出てくる。汲めども尽きせぬ泉のごとくとはこのことだ。スイングするとはどういうことか、そのお手本のようなソロである。
モダン・ジャズの世界ではヴィブラフォンというとミルト・ジャクソンが第一人者だが、ミルトの前にハンプトンという巨匠がいたから、ヴィブラフォンがジャズの世界でソロ楽器たり得たということを、あらためて思い知らされるような名演である。
勢い込んで叩く最初のフレーズから、ダブル・テンポになって次第に熱を帯びてゆき、最後はブルースで締めくくるのだが、何度聞いても鳥肌の立つようなソロである。
まだ聞いたことのない方はぜひ一度聞いてみてほしい。

このCDにはあと3曲収められているが、それは聞かなくてもいい(笑)。なぜならライオネル・ハンプトンがいないのである。ジャケットにはデカデカと「STAR DUST BY LIONEL HAMPTON ALL STARS」と書いてあるが、よく見るとほかの3曲は「BY THE ALL STARS」としか書いてない。たしかに……(笑)。
しかしこの1曲目のために買ってよい1枚である。

LIONEL HAMPTON ALL STARS "STAR DUST"
DECCA DL9055


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