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2005/02/04(金)
完全犯罪クラブ
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サンドラ・ブロックが主演だけでなく製作総指揮にもかかわったサスペンス。 ハイエナとあだ名される殺人課の刑事キャシー(サンドラ)が、若手刑事と惹かれあったり対立したりしながら猟奇殺人事件を解決してゆく。
冒頭、崖の上に立つ廃屋をカメラは遥か上空から捉え、しだいに近づいてゆくと、窓ガラスの割れた隙間から建物の中に入ってゆき、お互いの頭に銃を突きつけた二人の人物を俯瞰で捉える。 ヒチコックへのオマージュとも思えるカメラ・ワークで、映画への期待が高まるのだが、それも前半だけ。
小さなどんでん返しもいくつかあるし、トラウマのようなものを抱えるキャシー自身の謎も意味が深いのだが、残念ながら少しも「完全犯罪」ではないところが大誤算。 逮捕された容疑者ではなく、真犯人は別にいると主張するキャシーの根拠も、ほとんど勘のようなものでしかない。 考えたら原題は「MURDER BY NUMBERS」なので、邦題の付けかたがまずかったのかもね。
クライマックスの断崖の家での格闘シーンもヒチコックを思わせるカメラ・ワークで、往年の映画ファンならニヤリとするかもしれないが、それが映画のサスペンスと結びついているかというと微妙なところだ。
それに何より後味がよくない。 キャシーはこの事件をきっかけに過去としっかり向き合おうとするのだが、そのためだけの映画のような気もする。
ところで、上に述べた冒頭のカメラの長回し、たとえばヒチコックの『サイコ』(1960)の冒頭では、建物にどんどん近づいていくカメラが、建物の内部に入るところで場面が一瞬暗転して、そこでフィルムが繋がれたことがわかるのだが、この映画では何度見てもつながれた形跡が見当たらない。 ヘリコプターに乗っているはずのカメラがどうやって建物の中に入ることができるのか、どなたかご存知の方がいらっしゃったら教えてください。 映画の中の完全犯罪より、カメラの謎解きの方が気になるっていうのも困ったもんですが……(笑)。
2002年 ワーナー・ブラザーズ 120分 DVD ヴィスタ・サイズ(スクィーズ) 画質=★★★★ (最高は★5つ) 字幕の大きさ=大
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