|
2005/03/19(土)
ブラッド・ワーク
|
|
|
元FBI犯罪心理分析官VS猟奇殺人鬼、戦慄のサイコ・サスペンス! というふれこみだったが、どんなもんでしょう。
殺人を繰り返し、そのたびに現場に血のメッセージを遺す猟奇的殺人鬼。 FBIのベテラン分析官テリー・マッケレイヴ(クリント・イーストウッド)は、ある日現場近くで犯人を追い詰める。 身の危険を感じてとっさに逃げ出す殺人鬼。 追いかける心理分析官。 息詰まるチェイスが展開するか……と思ってみていると、どうもテリーの旗色が悪い。 演じるイーストウッドはなんといってももう70を超えているのだ。 現役の警察官を演じるのにはちょいとムリがある。 引きのシーンではスタントでカヴァーできるが、アップのシーンになると、見るからに苦しそうだし、第一走れてない! おいおい、ロジャー・ムーアの007じゃないんだよ、大丈夫かよ……と思ってみていると、なんとテリーはあと一歩というところまで犯人を追い詰めながら心臓発作を起こして人事不省に陥ってしまうのだ。
ネタだったんかいっ!!
2年後、心臓移植によってなんとか死を免れたテリーのところに、ある日女がやってきて、妹を殺した犯人を捕まえてくれと依頼をする。 「オレはもう現役を引退したんだ」と断るテリーに 「あなたの心臓は私の妹の心臓なのよ!」
全米で100万部を超え、アンソニー賞を獲得したマイクル・コナリーの小説を、『L.A.コンフィデンシャル』でオスカーを受賞したブライアン・ヘルゲランドが脚色、イーストウッド自身が製作・監督・主演を努めた。 しかし前述のようにイーストウッドはすでに72歳。アクション・シーンは見るのがちょっとつらい。 連続猟奇殺人犯の見当もついてしまうし、第一、『羊たちの沈黙』のバッファロー・ビルのような、戦慄を催すようなキャラクターでもない。
ハリー・キャラハンは好きだが、そんなに思い入れのない自分としては、主人公をもう少し若い俳優に譲り、サスペンスを盛り上げて欲しいという気がした。 このあと『ミスティック・リヴァー』でアカデミー主演男優賞・助演男優賞をもたらし、そして今年は『ミリオンダラー・ベイビー』で、アカデミー作品賞・監督賞・主演女優賞・助演男優賞とかずかずの栄光に輝くイーストウッドにしては凡庸な作品。
2002年 ワーナー・ブラザーズ 110分 DVD シネマスコープ・サイズ(スクィーズ) 画質=★★★★ (最高は★5つ、☆はおまけ) 字幕の大きさ=中
|
|
|
|