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2005/03/27(日)
JAZZの愛聴盤-13
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ジャズに詳しい方ならご存知だと思うが、ダグ・ワトキンスは、同じベース奏者ポール・チェンバーズの1歳違いの従兄である。 だが、そういうエクスキューズが必要ないほど、彼は傑出したベース・プレイヤーであった。 54年にアート・ブレイキー・アンド・ザ・ジャズ・メッセンジャーズの初代ベーシストとしてレコーディング・デビューを飾り、56年にはソニー・ロリンズのあの畢生の名作『サキソフォン・コロッサス』のレコーディングに参加している。 1962年の2月5日に自動車事故のためわずか27歳で亡くなったため、いわゆるジャズ・ジャイアントと呼ばれることは少ないが、ジャッキー・マクリーンの『4、5 & 6』やリー・モーガンの『キャンディー』など、ダグが参加したアルバムで名盤といわれるものはたくさんある。
さて、今回ご紹介するのはそういう彼のわずか2枚のリーダー・アルバムのなかの1枚、『ワトキンス・アット・ラージ』である。
このアルバムはトランジションという超マイナー・レーベル(あのセシル・テイラーの初リーダー・アルバム『ジャズ・アドヴァンス』で有名)への吹込みであるため、長い間幻の名盤と呼ばれていたものである。
パーソネルはドナルド・バードのトランペット、ハンク・モブリーのテナー・サックス、ピアノがデューク・ジョーダン、ギターにケニー・バレル、アート・テイラーのドラムスにダグというもの。 メンバーを見ただけで、リラックスした心温まるセッションであることが想像できると思うが、トラディショナルの「フィル・T・マクナスティー・ブルーズ」に始まって、バレル作の「フィナッピ」までの5曲はいずれも肩の凝らぬ演奏ばかりだ。 というと、ぬるま湯のようなセッションを思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれないが、この日はフロントを務めるバードもモブリーも絶好調で、1曲目からぶんぶん飛ばしている。ダグのベースも、いわゆるウォーキング・ベースなのだが、気心の知れたアート・テイラーとがっちりした音楽の土台を作っている。 そして、ジョーダンのピアノが、これまた相変わらずの歌心あふれる素晴らしいピアノで、ブルージーなバレルと好対照な演奏を聞かせてくれる。
土曜の夜や日曜日の昼下がりなどに、ちょっと気持ちのいいジャズを聴きたいなと思うときにはうってつけのアルバムである。
なお、タイトルはライヴっぽいし、フロント・カヴァーにも「in LIVE CONCERT FIDELITY」と書いてあるが、ライヴではない。 また、東芝から復刻されたアナログ盤とCDでは曲順が違っているが、ここではアナログ盤の曲順で紹介している。
DOUG WATKINS "WATKINS AT LARGE" TRANSITION TRLP 20
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