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2005/03/08(火) JFKの暗殺とブリティッシュ・インヴェイジョン-1
講談社から創刊された『ロック栄光の50年 Rock In Golden Age』という雑誌が、リンクを張らせていただいているいくつかのサイトで紹介されていたので、本屋に行ってみた。隔週刊で全30巻、すべて購入すると22,000円ほどになるので、眺めるだけで帰ってきたのだが(笑)、興味深かったのは、最初がケネディ大統領の暗殺から始まっていたことだ。

ぼくはビートルズを先頭にしたブリティッシュ・インヴェイジョンのすさまじさは、じつはJFKの暗殺直後という時間的な要素が大きかったのではないかと思っているので、この編集にはおおいに納得した。
今日はそのことについてちょっと触れてみたい。

1955年から2005年までの50年のロックの歴史を語るときに、創刊号をどの時点にもっていくか。
それをビートルズがアメリカに初上陸して、全米にビートルズ旋風が巻き起こった1964年に設定するというのは、しごく当たり前の発想だと思うのだが、1964年の号を1963年11月のケネディの暗殺から始めるというのは、よく考えるとふつうではない。
創刊号の巻頭のインパクトを狙ったと考えられないでもないが、なんといってもロックの歴史を概観する雑誌である。
ブリティッシュ・インヴェイジョンがどんな時代のどんな世相のなかで起こったか、この雑誌はそこをきちんと衝いていると思う。

ここに1冊の本がある。ご自身がシンガー・ソング・ライターでもあり、ボブ・ディランやブルーズ・スプリングスティーンの訳詞でも著名な三浦久さんの『追憶の60年代カリフォルニア すべてはディランの歌から始まった』(平凡社新書 1999年)という本である。
三浦さんは高校生だった1963年にカリフォルニアに1年間留学していた。そして事件は起こった。
「その日」のことを三浦さんは次のように書いている。

1963年11月22日、ぼくはカリフォルニア州サンタローザ、モンゴメリー高校で、4時間目のタイピングのクラスを受けていた。
 ミスター・ラブがストップウォッチのボタンを押し、「スタート」と叫ぶと、教室中にタイプライターの音が一斉に響きわたる。
 (中略)しかしその日、ミスター・ラブの「ストップ」という声が聞かれることはなかった。「スタート」と共に一斉にタイプライターが唸りだしたが、突然、ラウドスピーカーから流れてきた校長先生のミスター・ランキンの声によって中断されたのだ。
 「テキサス州ダラスで、われわれの大統領ジョン・F・ケネディが撃たれました。病院に運ばれました。危篤です」
 そのアナウンスが流れた途端、教室のあちこちからすすり泣きが聞こえてきた。隣にすわっていたシェリルも泣いていた。ミスター・ラブは「授業を続ける気にはなれない」と言って腰をおろしてしまった。誰も一言も話さなかった。しーんとした教室にすすり泣きだけが聞こえていた。10分も経っただろうか。長い時間が経ったような気がした。でも、ひょっとしたら5分ぐらいだったかもしれない。再びラウドスピーカーからミスター・ランキンの声が聞こえてきた。
 「われわれの大統領ジョン・F・ケネディが、たった今ダラスの病院で亡くなりました」
 それを聞いて、今まで泣いていなかった者も泣き出した。もの凄い泣き声である。校長先生の「直ちに授業を打ち切り全員家に帰るように」という指示が聞こえないほどであった。泣いていないのは、おそらくぼくだけだっただろう。大変な事が起こったということは分かったが、彼らと一緒に泣くことはできなかった。そして、日本の首相に同じ事が起こったら、当時首相は池田勇人だったが、日本の高校生はどんな反応を示すだろうかと考えた。非常に驚きはするだろうが、泣き出す者はいないだろう、そう思った。

 (中略)ケネディ暗殺の後、アメリカは沈鬱な雰囲気に満たされた。ぼくの周りでも、どこへ行っても話題はそのことばかりだった。その頃である。暗い雰囲気を吹き飛ばすかのように、軽快なビートのある歌がラジオから流れ始めたのは。まだ英語をよく聞き取ることができず、コマーシャルの歌と普通の歌の区別さえできないこともあったが、その歌には身体が反応した。それがビートルズの《抱きしめたい》だった。


長くなったので続きは明日…。


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