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2005/04/16(土)
JAZZの愛聴盤-14
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モダン・ジャズにちょっと詳しい人なら、セロニアス・モンクのレコーディング・アーティストとしてのピークが1956年10月の『ブリリアント・コーナーズ』に始まるリヴァーサイド・エラにあることに異論はないであろう。
けれどもぼくはコロンビア移籍第1作にあたる『モンクス・ドリーム』がときどき無性に聴きたくなる。
この作品は62年10月から11月にかけて録音されたもので、パーソネルはモンクのピアノにチャーリー・ラウズのテナー・サックス、ベースにジョン・オー、ドラムスがフランキー・ダンロップという、60年代初頭のモンク・カルテットのおなじみのメンバーである。 一般的にコロンビア時代のモンクはマンネリズムに陥ったという評価が浸透していて、あまり話題になることもないのだが、このアルバムは文句なしの傑作である(シャレではありませんよ)。
まず表題曲の「モンクス・ドリーム」が素晴らしい。一度聞いたら忘れられないような印象的なテーマの後、最初に出るラウズのソロのファンキーなこと。もともとアブストラクトなモンクの楽曲をさらに小さな単位に分解しながら再構築したような見事なソロである。 つづくモンクのソロはメロディアスでありながらブルース・フィーリングやブギウギ・ピアノの香気あふれるもので、そのまま後テーマに繋がっていくが、この6分26秒のなんと短く感じることか。 これが10分ぐらいあればどんなににいいだろう!と思わせるような名演である。
モンクのアルバムではおなじみのソロのナンバー「身も心も」を挟んで、つづく「ブライト・ミシシッピ」がまた素晴らしい。 この曲は聴けばすぐわかるように「スウィート・ジョージア・ブラウン」のコード進行に基づいたモンクのオリジナルだが、このセッションにおけるチャーリー・ラウズは絶好調で、魅力的な音色とともにモンクの描く世界を自家薬籠中のものにして見事なソロを展開する。 国内盤の解説で児山紀芳さんが書いているが、このときモンクはバッキングというよりラウズのソロとパラレルにソロを弾くような感じで、その対比がまた美しい。 つづくモンクのソロも間然とするところのない名演だ。
こうしてラストの「スウィート・アンド・ラヴリー」まで全8曲、とにかく魅力的なアルバムだ。
THELONIOUS MONK "MONK'S DREAM" COLOMBIA CS 8765
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