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2005/05/02(月) ファイト・クラブ
デイヴィッド・フィンチャーは『セヴン』しか認めないって人も多いが、ぼくはそうでもない。
ゲーム』もそこそこおもしろかったし、『エイリアン』の次回作の監督候補に名乗りを上げているらしいが、それはやっぱり見てみたい。
ところで、今回『ファイト・クラブ』を見たのは、妹のお薦めだったのだが、ぼくにはイマイチぴんと来なかった。
最初と最後のシーンがうまくきちんと噛み合わないまま、エンド・クレジットになっちゃった感じで自分の頭の悪さを再確認させられた映画だった。
そこで今回は我が妹ミキティーに解説してもらうことにした。
以下、ネタバレありですので、これから見ようと思ってる人は気をつけてください。


ミキティー(以下M):最後がよくわかんなかったっすか。。。
ぼく(以下P):そうなのよ。
M:お兄ちゃん、もちろんわかってると思うけど、これはフィンチャー版『モダン・タイムズ』なんだよね。
P:えっ、そうなの?
M:そうそう。ほらエンディングも二人が手をつないで後ろ姿を見せるじゃん、監督の意図は知らんけど。
P:あのね、フィンチャーがそう言ってるのかと思っちゃったよ。たしかに構図は似てるけど、あまりにも世界観が違いすぎるんじゃないかなあ…。
M:いや、そりゃあ、時代の閉塞感も格段に強くなってるし、メカによる自己疎外が仕事面どころか生活面にまで及んでる現代では、あのチャプリンの牧歌的な世界観では人は救われませんわなあ。
P:救われまへんやろねー。
M:で、過酷な現実は過酷な疎外を生み、過酷な疎外は苛烈な反発を生み出すわけよ、チャプリンの時代とは比べもんにならないくらいにね。
P:なるほど、そりゃそうやろねー。
M:そーゆー過酷な抑圧・疎外が生み出した人格障害と苛烈な暴力衝動、そして、そこからの再生の様相を描いたってことなんですわ、妹的には。
P:あ、そうなの? だから『モダン・タイムズ』ね、…なんか少しわかった気がするぞ。
M:最後の台詞が「すべてはこれからよくなる」、だったよね。
P:うん、ジャックは死んじゃうんじゃないか、とぼくは思ったから、なにがよくなるのかと思ったけど。
M:彼は助からないかもしれないけれど、タイラーはちゃんと抹殺して、自らが生み出した怪物に対する責任は果たすんだよ。
P:う〜ん、でも「抑圧・阻害からの再生」がテーマだとすると、あの終わり方は暗すぎるような気がしねえか?
M:魂の次元では彼は救済・再生されてるんで、肉体的に助かるか助からないかの次元を、ある意味越えてるから、あーゆー終わり方になったんじゃないの?
P:なるほどねえ。ちょっと強引な気もするけど(笑)。
M:あたしがリアルだと思ったのはね、…。
P:うんうん、きみはリアルにこだわるからね(笑)。
M:ジャックは「エリートの自分が自殺願望のいかれたヘビー・スモーカーに魅かれるなんてありえないっ!!」と思ってるからマーラへの欲望に気がつかないけど、タイラーはもちろんその欲望を隠さないよね。
P:うん、でもジャックは自分で気がついてないフリをしてるのかもね。
M:おお、それはありうるね。で、一人の女をめぐる不協和音が、人格障害を加速させ、抑圧と暴力衝動が加速するわけでさ。
P:なるほど。
M:人格障害で暴力衝動のある人の日常を映像化すればあんな感じじゃないかと思ったわけ。
P:ふむふむ。
M:他の人の前では一緒にいるジャックとタイラーが、マーラの前でだけは別々の行動になるのも妙にリアルでしょ?
P:ああ、そりは気がつかなかったにゃ〜。
M:そう思ってあのオープニングをもう一度見てみるとさ。
P:あの、神経細胞のニューロンのようなミクロな描写から始まって、喉の奥から口の中、突きつけられた銃の先へと映し出されていくとこ?
M:そうそう。あれ、人格障害がポイントになっていたと考えてみれば、なにやら、2001年宇宙の旅のような、すべては頭の中の出来事だという種明かしのような感じで、楽しくはないですか?
P:げっ、そこまで行きますか。スタンリー・クブリックまで行きますか。アーサー・C・クラークまで行きますか。
M:ま、もう一回見てみ?
P:わ、わかりました、お師匠様…。


(ぼくの口数が少ないように見えるのは気のせいです……。)

1999年 20世紀FOX 139分
DVD シネマスコープ・サイズ(スクィーズ)
画質=★★★☆ (最高は★5つ、☆はおまけ)
字幕の大きさ=小


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