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2005/04/01(金)
side A : エイプリルフール あるいは BARにて
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ほんとに久しぶりにBARのカウンターに座る。
9月に入院してからは、お酒から遠ざかっていて、でもなんだかこの場所に来たかった。
まだ早い時間で、お客さんは他には居ない。
「久しぶりですね」
「ちょと病気しちゃって」
「えっ!?それは、それは・・・」
「これからまた通いますね。通えるうちに」
「いらっしゃって頂けるのは嬉しいですが、お身体は・・・?」
「だから、来ることが出来る間はっ!」
「・・・・・・・・・」
マスターの眼が、ちょっと真剣になる。
「あっ、エイプリルフールかっ!?だめですよ。言っていい冗談とそうではない冗談が・・」
視線が合う。
「何にします?」
「お任せで、いつものように今の気分で」
マスターは、苺をミキサーにかける。そんなカクテルは初めて見るのでちょっと驚く。
コーンのウイスキーにその苺のジュースを混ぜ、グラナデンシロップを加えてステアする。
甘い味を想像して口をつけると、まるで甘みは消えていて、すっきりした味に、春のお花畑が見える気がする。
「ペルー・クスコ地方の歓迎の飲み物ですよ。名前はチャチャモラーダ」
先週私は、まだアップしていないiいろんなテキストや写真や絵をコピーしたCDを、信頼できる人に託した。
私が突然居なくなっても、このページには、私が残したかった言葉達は少しずつ、残っていく。
「エイプリルフールですよね?」
ドアに手をかけた私に、マスターがもう一度声をかけてくれる。
私は、ちょっと微笑んで、ドアを閉じた。
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![](/user/reversible/img/2005_4/1.jpg) |
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