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2005/03/10(木) そつぎょう
卒業式の向こうには新しい暮らしがあって、背が伸びて、好きになった男の子と、Kissができる勇気が生まれたらステキな恋ができ、ちっちゃい子供達に、優しく微笑むことができるようになれば、ステキな愛がわかって、そして、おかぁさんになれるのだと思っていた。


筋肉はついてはいたけれど、男の子達とおんなじの、お陽さまに焼けた棒のような足と手と、まっすぐな身体で、野球をし、波に乗り、自転車で走り回っていた。

入退院の繰り返しから、少し遠のいて、それまで一人で外で遊べることはなかったので、吸入薬をポケットに入れ、父に教わった遊びに熱中し、男の子達と遊びまわっていた時期がある。

体育の着替えは、もう早くから女子と男子は別々で、オクテな私は意味も良くわからずに、「男子ってイヤラシイんだから」なんて、友達の話を、ウンウンって聞いていた。着替えの時に見る同級生は、もうブラジャーをしている子も多く、胸のふくらみに何故かドギマギしてしまい、なんだか自分が男子であるような、錯覚を覚えたりもした。

そんな日の夜に見る夢は、ある日目が覚めると、胸がぷっくり出ていて、よかったなぁって安心してみたり、突然ちんちんが生えてきて、慌てて隠して、トイレで確かめる変な展開だったりと、いま思えば、少しずつ性に気が付く、そんな頃だった。

病気がちだった私は、周りの友達が、一人また一人と生理が始まり、身体が少しずつ女の子になっていくのを、少し羨ましく見ていた。

中学に上がっても、まだ生理はこなくて、二回目の夏が来て、プール授業の着替えの時に見る同級生のカラダはもう、ほとんど女の子で、チラッと盗み見する下半身にも、私には無い茂みがあって、ロッカーの隅っこで、誰にも見られないように、急いで着替えをしていた。

心配した母親が、女医さんのいる病院に連れていってくれたのは、その年の秋で、検査して、診察してくれて、「遅れているだけで健康ですよ。」ってお墨付きはもらえたけど、母に頼んで、パット入りのブラジャーを買ってもらい、ほとんどふくらんでいない胸につけて、私は学校へ通った。

学校にいるとき、そして同性の友達といるときに、その事はすこし気になってはいたけど、その頃好きだったことで遊ぶには、男の子のようなカラダは都合が良かったし、便利でもあった。

水着で女の子だとは判るけど、子供っぽい容姿のおかげで、みんなからは性を意識せずに、可愛がってもらったし、ちっちゃい子たちからは、同類で一番でっかい奴だと思われていたようで、私の海での暮らしは、おんなじスタンスで何年も続いた。

初めての生理を迎えたのも、海だった。朝からシクシク下腹部が痛い感じはあったけど、ちょうどお腹も少し悪かったので、ビオフェルミンだけを飲んで、海に入った。

三月の半ばの海は、昨日冷たい雨を降らせた低気圧が抜けたばかりの、いい波が立っていて、まだ人も少なく、ひっつめ髪の私は、何本もいい波をつかむことができて、ご機嫌だった。

スーツを着ていてもカラダが冷えてきて、シクシクがきつくなり、そろそろ上がろうと思ったときに、スーっと何かが流れる感じがあって、あれって思って、家へ急いで帰り飛び込んだ浴室で、初潮だと知った。

お赤飯は炊かなかったけど、やっと来たことは嬉しくて、なぜだかこれでお嫁に行けるなぁなんて、本気で思った。

最初の生理が終わってから、私は初めて自分のアソコを手鏡で見てみた。

普通の皮膚が、スーッと分かれて、その間に粘膜が始まる。唇のように、始まりがハッキリしているわけでもないし、お尻の穴のように、形がハッキリしているのでのでもなくて、そのままだと、曖昧な線でしかなくて、でも指で広げてみると、なんだか小さなちょっとだけ独立した粘膜が、指で広げてみると重なり合っていて、その奥にある場所まで、広げてみるのは怖くて止めた。

毎日、お風呂で洗っていた自分の身体の一部なのに、こんな風になっていることを、私は初めて知った。そして、なんだかとても愛しくて、生理になってくれたことにありがとうってお礼をいい、どう使うのかは実感は無かったけど、大人になって、おかぁさんになるには大切なことはわかっていたので、これからよろしくって、お願いした。

初対面から、ほんの2年とちょっとで、私はそれを売ってしまった。そして20歳になった私は、今もそれを売り続けている。

子供から、女の子になって、でも私は女の子の時期が、とても短かった。キスも知らないまま、処女を売り、恋には憧れただけで、カラダを売るようになった。

あの春の日、中学を卒業し、目標だった高校に入学したとき、私はほんとに女の子で、伸ばし始めた髪はまっすぐで真っ黒で、でも同級生に比べれば、まだまだ子供で、今でもみんなは、その印象を持ったままだったりもする。

ほんとはまだ、初潮から6年しか経っていなくて、でもカラダを売ってからはもうすぐ4年になる。

中学の卒業アルバムの中には、運動会や修学旅行のスナップには、男の子のような私がいる。そして、クラス写真には、少し髪を伸ばし始めた、女の子の私がいる。

やっと大人になれたのが嬉しくて、でも子供の心が大好きで、おっかなびっくり、新しい門の前で戸惑いながら、一歩進もうとしている女の子がいる。

きみが、思っていた今日は、きっとこうじゃないよね。今の私を卒業したら、一度、きみに私は戻る。そして、もう少しだけ「女の子」を過ごし、それから、今までのいろんな私から卒業したい。

勇気を出して、ステキな人と手をつなぎ、そして、おかぁさんになって、ちっちゃい子供達に優しく微笑んでみたい。いつか。

きっと、いつか。


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