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2005年4月
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2005/04/10(日) side A : さくらのよる
さくらは、もうなかった。

繁華街の角を左に路地へ曲がって、右にある小さな公園へ入れば、ビルを背にして、そのさくらは、枝を伸ばしているはずだった。去年はそうだった。

少しがっかりして、大通りを渡る。

ずっと前、ずっと小さかったころ、家族でさくらの季節にこの街にきたことがある。

広い敷地のその建物の周りには、ぐるりとさくらが咲いていて、歩いても歩いても、はらはら、はら、さくらが舞って、手をつなぎ、笑いあい、髪についた花びらをつまんでくれる、父の髪にも花びらは乗っていて、そう言うと、頭を下げてくれて、その花びらを私もつまんだ。

妹の髪にも、弟の髪にも、花びらは降って、私達はそのままで歩くことにした。

工事をしているその場所の、さくらは去年にはもうなくて、クレーンの灯りが、点滅していた。

坂を降りきった、向こうには少しだけさくらが残っていた。

そのさくらは、今年も咲いていて、少しほっとする。

右に曲がって、もう学校ではなくなってしまった建物の、さくらに会いにいく。

そのさくらだけは、あの日より、伸ばした枝に、花を咲かせていてくれた。


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