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2004/10/11(月) side A:   エリカ  あるいは 思い出の森
今日も空が低い。そして時々泣いている。

そんな日のエリカはいつもより淡い。こんな、小さなエリカを母は大好きで、私には物語の大切な一部だった。

小さくても、それは木の形をしていて、そして小さな花が咲く。その周りに、お友達だったお人形や動物たちを並べると、そこは花盛りの森になる。

もう少し寒くなってからは、クリスマスにはリボンを結んでもらうゴールデンクレストも加わって、アパートのベランダに置かれたその頃は、とっても大きく思えたお菓子の缶の上に、砂で小さな丘を造り、自分で洗うんだよって念を押された、レゴで組み立てたお家も置いて、私の森は出来上がる。

レゴで組み立てるのは、トンガリお屋根のみんなで住みたいカワイイお家だったり、ヒースが揺れる、アンの暮らすあの島のお家だったり、ブロックの数が全然足りなくて、映画のセットみたいに、前からだけはそう見える、絵本に出てきたお城だったりもした。

そして、たくさんたくさん勝手なお話を作り、いつか、遠い未来を思い、それはお気に入りの遊びになった。

満開のエリカの根元で、お人形達にはいつも仲のいいお友達がいて、動物達と楽しく遊んだり、まだ言葉さえ解っていないのに、恋人同士だってことでお話をしたり、お話の中でどんどん盛り上がっていって、結婚式も挙げたことがある。

何度かは、悲しい漫画やお話を読んだあと、主人公のお人形はその森の中で死んでしまい、淡い花の咲く木の根元で、お葬式をしたこともあったことも思い出す。

少しずつ私はその森のお話の中で大きくなり、女の子になり、少女になり、おねぇさんになっておかぁさんにもなったっけ。

寒い風が吹き始める頃、エリカの花は褪せてきて、ベランダでも遊べない季節が来る。その年の思い出の森は、おしまいになって、でも来年も遊ぼうって、思っていた。

その頃の視線の高さから、写真を撮ってみた。

エリカはやっぱり木みたいに見えて、思い出の森に帰りたくなる。

思い出の森で夢見た明日たち、すこしでいいから、叶ってね。いつかは。


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