最新月全表示|携帯へURLを送る(i-modevodafoneEZweb

2003年10月
前の月 次の月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
最新の絵日記ダイジェスト
2006/06/04 side A: ひさしぶり
2005/09/17 side A : ひまわり
2005/09/16 side A : 空 
2005/09/15 side A : そして
2005/05/23 side A : レースフラワー

直接移動: 20066 月  20059 5 4 3 2 1 月  200412 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 月  200311 10 9 月  200212 10 8 7 6 月 

2003/10/12(日) sideA :やくそく / 帰ってゆくツバメ 
あのお店の軒先にあった巣には、もうツバメは居ない。今年は2番子まで育てて、帰って行った。巣造りが始まった時から、お店のおじさんは、ちっちゃな黒板にカラーチョークを使って、味のある絵を描いていて、卵にはちゃんと柄があり、生まれた雛の生え揃うまでの羽毛は、ちゃんと逆毛だった。そして一羽一羽に可愛い名前がついていた。

「今日卵が5個生まれました。」から始まった、ツバメのお知らせは、「今日無事に巣立ちました」で終わるのかと思ったら、「今年は2番子の雛が3羽生まれました!」で、また始まって、雨の多い夏は、なかなか雛が育たずに、脚立に乗って、雛に餌をあげているおじさんの姿も何度か見た。

弟が生まれた病院の帰り道、車中の父は思わず口笛を吹いていて、やはりとっても嬉しそうだった。二人女の子が続いて、私は男の子のように育てられた。自転車の特訓を受け、軟球のボールでキャッチボールをして、サイドスローでカーブまでは投げられる。そしてサーフィンを教わり、スキーを仕込まれた。勿論それは楽しい日々だったけれど、ピアノやバレー教室へ通うお友達が、そして妹がうらやましくはあった。

父の事業が行き詰まって来ていた頃、勿論私はちっとも気付いてはいなかったのだけれど、久しぶりにキャッチボールをした後の父の言葉が甦る。

「妹と弟、おねぇちゃんとして頼むな」
「あったりまえじゃんっ!」

自分の汗を拭ったタオルを、私に差し出した父は、あっと気付いて、悪い悪いと笑った。いいよいいよ、と受取った私は、久しぶりに父の香りを吸い込んで、軽く手足を拭いて、首に巻いた。そして、父と腕を組んで、お家に帰った。

私はその日の父と約束をしたと思っている。出来るだけはやってみよう。でも、おねぇちゃんとしてはとっくに失格しているのかも知れないけど。

2番子が旅立ったあと、南に帰るツバメの親子の絵が、「来年もまたね!」って言葉と一緒に10日ほど飾ってあった。その絵の子ツバメは、2羽だけだったのが、ちょっと悲しかった。




 Copyright ©2003 FC2 Inc. All Rights Reserved.