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2004/04/12(月)
side A:水族館
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上にある照明が強くなって、今まで水槽の様々な深さを、円を描いて泳いでいた魚達は、その明かりに惹きつけられる。強くなる照明は餌の合図で、我先にそれを奪い、水面に広がる餌を奪いあう。
「まったくあいつらは」って表情で、私に一瞥をくれたオレンジ色の魚は、「どうせここまで餌は落ちてきますぜ」なんて言いながら、悠々と泳いで居たのだけれど、今日は餌が少ないのか、一粒も彼の深さに届いてはこない。「ちぇっ!」って舌打ちをしながら方向を変えた魚の前を、餌が沈んでいく。
口でそれを捉えて「ほらね」って私を振り返る魚は、もう舌打ちは忘れた顔をしていた。
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![](/user/reversible/img/2004_4/12.jpg) |
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