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2004/02/16(月) sideA :二日遅れのバレンタインチョコー
久しぶりに箱を開けてみる。妹に譲った物も多かったけれど、今でも大切にしている着せ替え人形がある。
最初は誕生日に白いレースの付いた綺麗なドレスを着た「私」を買ってもらった。独りぽっちの「私」は、背景のつもりの絵本の森の中で遊び、畳の縁の道を散歩して、広告の紙で折った船で廊下の河を渡り、お風呂の海にそのまま浮かべていまい、色が流れ出して母に叱られ、そして純白だったお人形のドレスはまだら模様になってしまって、ぽろぽろ涙が止まらないまま、一生懸命何度も洗った。
まだらは少し薄くなったけど、ドレスは古びてしまって、それを着た「私」はもうお姫様にはなれないんだと、悲しかった。

お掃除をして、お茶碗を洗って、靴下と下着だけだけど洗濯物を畳んだ。いつもよりいっぱいお手伝いをして、コイン一個のお小遣いを貯めた。でもドレスは高くて、「私」はずっとまだらの古ぼけたドレスで暮らしていた。

ある日勉強机に、お裁縫道具と布が置いてあった。それまでの私は、お洋服は買うものだと思っていた。簡単な型紙と使い込んだ子供用のお裁縫の本も一緒に置いてあって、私は初めて針に糸を通し、布を型紙に置いてそのまま切ろうとして、型紙まで切ってしまい、セロテープで修理してから本を読み直して、ちゃこで当りを取り、線を引くことを学んだ。

3日かかって出来上がったお洋服は、簡単なワンピースだった。縫い目は飛び、横の線もでこぼこだったけど、それを「私」に着せて、ポーズを取らせてみると、なんだかとっても素敵に見えた。嬉しくって、嬉しくって、母に見てもらいに台所までかけていく。目を細めてくれた母は、箪笥から同じ柄の私のワンピースを持ってきて、着せてくれた。私と「私」は、一緒になった。

着せ替え人形を持ち寄ってお友達と遊ぶようになっても、「私」はいつも手作りの服を着ていた。母に教わりながら、難しいダーツを取り、ドレープだって出せるようになっていた。テーブルや、椅子は父が作ってくれた。お店で買ったのは、レンジだったり食器だったりと、ちょっと自分では作れないものだけだった。私は、お姫様にも、ハイジにも、魔女にだってなって、遊んだ。

箱の奥には、大きさは合っていないけど、今住んでいる家の模型がある。屋根も壁も一部外せるその模型で、私たち家族はいろんな暮らしを語り合った。少しづつで来ていく本当の家を見ながら、私たち家族はたくさんのお話をした。

取り出したその模型の居間に、父の役だった、私が作った熊の縫いぐるみを置いてみる。「私」にはもう色も変わってしまった最初のワンピースを着せてみた。二人だけのその家で、私たちはお話をする。

「残り物で悪いけどチョコレートどうぞ!」

この一週間で、私は18個のチョコレートをお客さんに渡した。そして18人の男に抱かれた。

でも食べてね、私のチョコレート。そして私を見ていてください。





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