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2004/08/17(火) side B:   癒しの風景 あるいは 戦場
朝霧は渓流に良く似合う。

テラスに出ると、凛とした川からの風が昇ってくる。お客さんはまだ眠っている。

夜は、この湯船では、ほとんど仕事をしていて、お風呂に入った気はしなかった。

ゆっくり浸かるお湯は温かで、早瀬を渡る水の音を聞きながら、もう何度目か数え切れないほど読んだ、安房直子さんの童話を開く。

遠くの方から朝餉の準備をする音と、薄い香りを僅かだけ感じた。

「癒しの宿」って、いろんな処に書いてあるその場所で、私は仕事をする。

少しは眠れるお客さんだったけど、泊まりの貸切は初めてで、今まで知らなかった性癖もたくさんあった。そして、私はそれを受ける。

起き上がる気配がして、ガラス戸が開き、お客さんがテラスに出てくる。

「もう一戦、いいかな?」

いたずらっぽく尋ねるお客さんの誘いを、断れる立場に私は居ない。

「もちろん!一戦でいいのかな?」

私も仕事の顔に戻って、いたずらっぽく応える。

そう言えば、前のお店のフロントでは、「完全S付き、時間内※回戦でお願いします」って言っていたなぁなんて、思い出した。


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