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2004/09/17(金)
side A: 窓
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まだ夏の色の残る空に、ほんの少しの夕暮れ色に追われて、いわし雲が東に急ぐ。
切り取った風景が、窓から見えている。
ソファーの右端から左端に、座る位置を変えるだけで、風景は変わる。
ガラス戸を開いてベランダに出てみると、風景は広がって、右も左も、空も海も見えるけれど、明るい光に慣れた目で振り返る、部屋の中は、暗くて見えない。
プールサイドのガーデンに水を撒いている、人の良さそうな年配のスタッフと目が合う。
「いいところですね。」
「ありがとうございます。ゆっくりおくつろぎください。楽しい休日を!」
軽く会釈して、部屋へ戻る。
レースのカーテンだけを引いて、バスロープを脱ぎ、少し柔らかくなった光の中で、ひざまずき、シャワーから戻ったお客さんのペニスを口に含んで、そして、私の仕事は始まる。
本気で、窓越しに、スタッフは、幸せそうなカップルの、楽しい時間を祈ってくれているかも知れないのだけれど。
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![](/user/reversible/img/2004_9/17.jpg) |
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