最新月全表示|携帯へURLを送る(i-modevodafoneEZweb

2004年7月
前の月 次の月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
最新の絵日記ダイジェスト
2006/06/04 side A: ひさしぶり
2005/09/17 side A : ひまわり
2005/09/16 side A : 空 
2005/09/15 side A : そして
2005/05/23 side A : レースフラワー

直接移動: 20066 月  20059 5 4 3 2 1 月  200412 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 月  200311 10 9 月  200212 10 8 7 6 月 

2004/07/02(金) 親不孝だと思わない?
「親不孝だと思わない?」ソープで働き始めた頃、お客さんに何度も言われた。
父の自殺をひとつのきっかけとして、他に何も持たなかった私は、カラダをお金に代えるようになった。、妹と弟の姉として、そして病気になってしまった母を、そして自殺した父の愛した家を守りたくて。
でも、少し悲劇のヒロイン気取りで、仕事を始めた私は、すぐに行き詰った。私はお客さんに口ごたえをする。なんにも知らないのに、こんな頑張ってるのにって思いながら。

「親の借金で、やってるんだよ。子供不幸は親のほうだよ」
「ハイハイ、よくある話だね、さぁ足を開いて」とお客さんは行為を始める。
「父が自殺して、母が入院してるからこれしか仕事、選べなくて」
「ふーーん、そうなんだ。寂しいだろ?次は外で会わない?」と無料の天外デートに誘われる。
「親に稼ぎが無いんで、妹と弟の学費も私が稼がないと」
「おぉ!偉いね!お小遣い欲しいだろ?生でやらせてくれたら考えるからさ、どう?どう?」っとSを外そうとする。
なんて嫌な人達ばっかりなんだろう?なんでこんな仕事しなくちゃならないんだろ?
私は、大好きだった父を、少しずつ恨むようになっていった。
辞めたくて堪らなかった。毎日、毎日が嫌で嫌で堪らなかった。お店の控え室でも殆ど口をきかずに、いつもすみっこでうずくまっていた。上目遣いに女の子たちを眺め、なんでこんな事してるのに、笑えるんだろうって、思っていた。
そんな私に、声をかけてくれた先輩がいた。出勤日数は少ないのに部屋持ちで、いつもTOP3に入っている。殆ど指名で埋まっているのに、短い待ち時間も控え室に降りてきて、みんなの私事や、お客さんとの様々な対応についても、相談を受けている。
その先輩にはホントの歳もお見通しだったし、まるで手に取るように個室での私の仕事の姿もお見通しだった。そして言われた。
「お金の価値が判ってないね。お金の大切さが判ってないね」
反論した。今の暮らしがどんなに大変で、どんな思いをしてこの仕事をしているのか、泣きながら話した。
「私は、解った。でもお金を払うお客さんには関係ないよ、そんなことは。」
そうだった。その事に気付いていなかった。あんなことをするんだから、お金はもらえて当たり前だと思っていた。それから、たくさんのことを先輩から学び、少しずつ他のみんなからも色々教えてもらえるようになった。
お客さん達も、普通に暮らし、父であり息子であり、伴侶であったり恋人であったり、上司であったり部下だと言うことがやっとわかってくる。そして、自分の何かを確かめるために、あるいはバランスを保つために、ソープへ来る。
私は癒すことは出来ないけれど、受け止める。ただただ受け止める。
6月は父の日があるので、お客さん達も、こんなことを口にする。
「いやぁ、頑固でよく拳骨もらったよ。今は孫に甘くて、俺が叱ってる。わはは。」
「忙しくて殆ど遊んでもらえなかったよな。嫌いだとも思ったよ。でも自分がその立場になって初めて、親父と飲みたいと思った。って今は口実作って、飲むのがけっこう楽しいんだ。」
そんなそんな、今はお父さんのお客さんたちが、お父さんたちを語る。
そして聞かれる。「親不孝だと思わない?」
「ええぇ?うちはオヤジを練習台にしてるから、喜ばれるよ。って挿入だけしないけど♪」
「馬鹿言ってんじゃねぇよ、わははっ!」
いつのまにか、父への憎しみは薄れていて、大好きな父が戻ってきた。
父さん、やっぱり好きです。


 Copyright ©2003 FC2 Inc. All Rights Reserved.