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2004/02/20(金)
side A 女の闘い? キャンセルと空予約
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木曜日の私は、日記を書いてからお仕事に来た。全部本指名で埋まっていて、ほっとする。2本勤めてお上がりコールのインターフォンを取ると、「次はキャンセルで〜す」と間延びした新人ボーイさんの声がした。
ソープでキャンセルしても別にフィーは掛からない。私の店のシステムだと、予約時間の前の決められた時間に、来店確認の電話を、もう一度お客さんがすることになっていて、その電話がないと自動的にキャンセルになる。そして忙しい時期ならフリーさんが付くこともあるし、キャンセル待ちのお客さんが入ることもある。
最初の頃は、キャンセル待ちのお客さんって、正直理解できなかった。人気の部屋持ちのおねぇさんの予約は、受付時間すぐに一杯になる。その中で、常連さんではないネット予約の時間帯を中心に、キャンセル待ちのお客さんが入る。つまり、予約のお客さんが予定通り来ると、何もしないで帰っていく。なんじゃそりゃ?
控室から、ボーナス時期や、連休時期とか、お誕生日ウイークとか週末とかの日にもし予約が一杯でもキャンセル待ちを、お客さんに電話で頼んでいるおねぇさんを何度も見かけて、これも最初はどう言う事なのか判らなかった。
仲のいいおねぇさんと二人きりになった時に尋ねてみた。 「あっ、それはね空予約対策なんだよ」「空予約って?」 おねぇさんは丁寧に教えてくれた。
一言で言えば、「空予約」は「嫌がらせ」だ。店外とかを頼んで断られたり、個室で行き違いがあったり、気に入って通っているのに、女の子との関係がソープ嬢とお客さんから進展しなくて逆切れしたりして、入る気もないのに予約を入れる。そして確認電話までしてから実際には来ない。混んでいる時期でも、これをやられると、写真指名店だと、部屋待ちのお客さんから優先で入ることが多いから、たいていの場合、その時間帯はお茶を挽く。或いは、女の子同士の確執から、自分の常連さんに頼んで、相手の女の子に空予約を入れてもらう場合さえあるって言う。
「そうなんだ〜。」「って私はしないけど、ターゲットにされた事はあるよ。」っておねぇさんは笑う。「まぁ、キャンセル待ちを見返り無しで頼めるお客さんがいるっていうのは、財産だしね。」
もちろん、女の子に会いたくて会いたくて、一日犠牲にしてでも、キャンセル待ちにかけるお客さんもいるらしいけど、それはそれでストーカー候補として危ない。その頃の私は、そんなのことに思いは及んでいなくて、ただただ毎日個室で勤めていた。そんな話を聞いても何だか、よその話みたいで、ピンときてはいなかった。
今のお店では、前のお店の常連さんもかなり連れてくることが出来て、私には2ヶ月目からナンバーがついた。そして4ヶ月目には部屋持ちになった。頭は低くしていたつもりだったけど、その頃から空予約が入るようになって、「あぁ、これなんだ」って苦笑いをしたことがある。それまで以上に、時間前や来客待ちの時間に控室で片付けをしたり、お菓子を持っていったり、お茶を入れたりしていたら、何時の間にか空予約は無くなっていって、もう一度苦笑いをした。
「何か悪いことしたかなぁ」って思いながら、フロントに回ると、マネージャーが伝言の紙を渡す。 「会社関係の通夜があるのでキャンセルしてしまいました。すいません。」そこには、長い常連さんの「***の鈴木です。」と、丁寧にフロントは知らない本当の勤務先名まで添えてあって、しかたない事情だって判って安心する。
帰りに寄ったコンビニは、雛祭りとホワイトデイの飾り付けになっていて、全体が淡い春色になっている。その色に誘われて、いちごのムースとモーニングを買ってからお家に帰った。
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