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2005/03/20(日) side A : 彼岸 
駅前で買った花束に、父と母が大好きな、お庭で咲いた花を少し合わせて、お供えする。

彼岸の墓地でも、一人だけの女の子は珍しくて、好奇の視線に目礼して、何組かのお参りの家族達とすれ違う。

おばぁちゃんは、この前の雪で軽く足を痛めてしまい、今日は一緒に来れなかった。妹と弟は、卒業式のすぐ後の、友達や級友との予定が詰まっていて、ごめんねって言いながら、ちっちゃな仏壇の前で手を合わせてから、出掛けていった。

この日に半日休むために、ちょっと迷った外出も受けて、でも迷っただけの負担はあったり、それは、何のためなんだよ、って、少し心がささくれ立つ。

それが八つ当たりだってことは、わかっているし、どこかに、お彼岸だからって、お墓に行かなくてもいいじゃない、って、思っている私もいる。

今も、父を読み続けていて、忘れはしないし、その生きてきた毎日は私のそばにある。

その日々を共有していた母は、今も心を閉ざしたままで、お医者様が言いにくそうに私に告げるのは、母の心の中で、私は居ない娘になってしまった。

そう、私が居なければ、今も父は居て、父は母だけを愛していて、病気が治れば二人の子供と幸せな日々が来る。

じゃぁ、私は何かと言えば、いつの間にか、父を誘惑した若い娘になっていて、中学三年生くらいからこっちの私の写真を、母は、全部破って捨てたって、お医者様に言われた。

そのことを聞いたとき、悲しくなかったと言えば嘘になる。でも怒りの気持ちは、湧かなくて、あぁ、やっぱりって、思った私がいた。

お線香の煙は揺れて、サッと吹く風に、お花も揺れる。

がんばらなくちゃ、もう少し。


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