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2004/09/23(木) side A:  お彼岸 あるいは あの一瞬
夏の名残が、すっと身を引いて、空に秋の雲が広がる。

妹と弟が祖母を支えて歩く石畳の道は、ほんの5年前には6人で歩いた道だ。そして、その中の一人は、今はお墓の中にいる。花束には、別に買った色を少し混ぜ、4人揃って手を合わせる。

あの年は、まだ私も祖母と手をつなぎ、ぐずりだした妹を父が抱き、弟ははじめから母が抱いていた。赤い彼岸花が揺れる道を、家族はみんなで歩き、祖父のためにお参りにいった。

みんなでのお出かけが嬉しくて、よそ行きの服と靴とお帽子が嬉しくて、私だけがはしゃいでいた。

父もネクタイをしてスーツを着、ピシッとしたワイシャツがカッコいいなって思っていたのに、抱いた妹が体をくねらせて、皺になってゆくのが、なんだか腹立たしかった記憶がある。

お墓の前にみんなで並び、お光を灯してお線香に火を点け手を合わせる。ちょっとだけ、祖父の顔を思い浮かべて、手を合わせていたと思う。

今年の私は、目を閉じて、長いこと手を合わせていた。

父のあの日が、そしてこの何年かで読んできた、父の歩いてきた道が、日々が、次々に浮かんできて、そしてその想いたちが、押し寄せてくる。

「どうしたの?」

って、妹の声に目を開く。

涙をぽろぽろ落としていた私に、3人はちょっと不思議そうな顔をしている。

少しずつ忘れていくことは悪いことじゃない。ずっと深いところにしまいこんでいくことも悪いことじゃ無い。それは判っている。

16才からの私を、こんな私のほんとの日々を、思い出してくれる人は、誰も居ないってことを、もう一度思ったりもした。


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