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2004年8月
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2004/08/26(木) side A:   灯りを落として
扉を開くと、席は埋まっていて、マスターは電卓を持ったまま、目で合図する。

一度扉を閉めて、お客さんはラッキーストライクを取り出し、私は火をつける。

少し冗談を言って、三度煙を吐き出した時、扉は開き私達はBARに入る。

いつもと違い、恋人達ばかりが並んでいて、映画みたいに首をすくめるお客さんに、マスター以外は、視線も投げない。

恋人達のために、いつもより少し、灯りも落としてある。

「どうしたの?」
「取材なしで雑誌に紹介されてしまったらしくて。。。」

注文の時にお客さんとマスターは小声で話す。

「俺達も恋人の振りでもするか?」
「ふりしなくても、恋人に見えてるよ」

今日の私達は二人ともバーバリーのコットンスーツで、微妙に色が違う二着は、お客さんが買った。靴はヤンコのメッシュで、時計は私に合わせて、TUDERを付けている。
そういうのが、このお客さんは好きだ。

カウンターには、ロンググラスとロックグラスが並んでいて、混んでいるのに、マスターは手持ち無沙汰だ。

「じゃ、あれ。」

混んでいるカウンターに南の島のお酒が並ぶ。

シェイカーの音がして、一瞬お店が静かになる。

出来上がったカクテルのグラスを合わせ、そして、夜が始まる。


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