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2005/02/27(日) side B : 凍る髪 あるいは 記憶
包み込む暖かな色は、去年と同じで、そしてあの日とも同じだ。

ちょうどこの場所に来た、去年の今頃、私は性についてのテキストを、繰り返し書いている。

大学に入り、楽しいはずの学生生活を始めて、「ソープ嬢の私」と「学生の私」と、そしてここにいる「私」のバランスが取れなくなって、私は壊れた。

どこで何をしていても、心に何か異物があって、それは濡れもしない性器に、何かを挿入され、かき回されているような、粘膜がキシキシとするような不快感から始まった記憶がある。

冬でも開いている、雪の中のジャグジーで、今年も私はお客さんと交わる。去年は挿入したまま、幸せそうな家族と触れて、あの日、家族でこの場所に一度だけ来た事を思い出したりもしたけれど、今年は平日なので、室内のプールにも人影は無い。

デジタル表示の温度計は氷点下6℃を示していて、結晶の形のままの雪が舞う。40℃の温水に落ちる結晶は、あっという間に形を無くして水に戻り、そして私に落ちた結晶は、そのまま髪に凍りつく。

凍りついた髪で、水面から突き出すお客さんのペニスを舐め、髪は水面に触れて、氷は溶けて、そしてこんどは、その水が凍る。

二度交わってから、一人でお風呂へ入って髪を洗った。

流れるお湯で、髪は元に戻った気がするけど、凍った感覚は、当分忘れない。


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