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2005/01/28(金)
side A: あかいはな
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髪を一本にくくって帽子をかぶり、お花に水をあげる。
乾いた北風の中で、お陽さまを浴びると、思ったより早く土は乾く。
「いつもきれいにしていてえらいねぇ」って、前の道を散歩する、杖代わりのカートを押す顔見知りのおばぁちゃんが、声をかけてくれる。そして、花たちを愛でてくれる。
「楽しみなんだよ、ここを通って花を見るのが」
この季節だと、駅に向かう道でも、垣根のそばにある椿と山茶花と、そしてプランターで揺れるパンジーとこの何年かで急に増えた、ガーデニングシクラメンくらいしか、見かけることは少ない。
東南に少し傾いた土地に建つ私の家は、冬でも一日陽が当たる。水さえ切らさなければ、お花たちは、元気にそれぞれの季節を咲き続けてくれ、外では凍えてしまう、母が育てた幾つかの花はは、今年もお部屋で冬を越す。
一度通り過ぎて、思い出したように戻ってきたおばぁちゃんは、カートのふたを開けて、キャンディーを3つくれた。
「いいこだね、あんたは。だからお花もこんなに咲くんだよ。」
ぺこりと私はお辞儀して、キャンディーをひとつ口に入れて、またお花に水をあげる。
赤い花が咲いている。
週末寒波が来るそうで、もし雪が積もれば、きっときれいな風景になる。
でも、次の日には、花は凍って枯れてしまうのだけれど。
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