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2005/02/28(月) sideB: シュプール あるいは 軌跡
7時過ぎに、性器をいじられる感触に目が覚めて、お客さんとまた交わる。

冷やしておいたジョッキに細かい泡を立てて私が注いだビールを、一息に飲み干してから、「一眠りするから、一本滑ってこいよ」と言われる。時間は9時を過ぎていた。

ゴンドラで、若い男の子二人と一緒になる。

最初は、二人だけで会話をしていて、そのうち話題は、私からも笑いを取ろうとした話になり、カワイクなって、クスッと応えてみると、色々話しかけてくる。

「どこから来たの?」
「誰と来たの?」
「何してるひとなの?」
「いくつなの?」
「地元だから、スノボ教えてあげようか?」

語尾にすこし方言のイントネーションが入るけど、TVで聞き覚えただろう、今風の言葉は、決して不快ではないし、そして、チャンスだと思う心にも不快は無い。

「神奈川」「ともだち」「大学生」「はたち」「ありがとう」私も言葉を並べる。嘘は「ともだち」だけだ。

風が強くて、減速になったゴンドラは、10分少しかかって、山の中腹の駅に着く。その間、三人は出会ったばかりの男の子と女の子が、きっと話すんだろうなって会話をして、笑いあった。

そこから少し左に滑り込んで、クワッドに乗って、山頂に着く。一緒に。

「結構上手いね」「ありがとう」

コース図で確認しておいた、左手の林間コースへ滑り出して、20°ちょっとの斜面を下る。そのまま、緩斜面へ滑り出して、ゲレンデ幅一杯にスラロームしながら、圧雪の縁を使って、少しだけ飛ぶ。

二人は、ついてきてはいたけれど、ちょっとバランスを崩すと前足加重になるくらいの腕前で、かなり危なっかしい。

そのまま、左側の30°のコブ斜面へ入って、ショートターンを繰り返し、また少しだけ飛ぶ。

下に着いて、見上げる斜面を、立ち上がろうとしては転び、また少し滑る。でも、ちょっとだけカッコを付けようとしてまた転び、繰り返しながら、二人は降りてくる。

中頃で、疲れて座り込んでしまった二人が揃って私を見ている。雪が強くなって、あっという間に二人を白く包む。

霞む二人に、大きくバイバイって手を振って滑り出し、コース外の林に入って木を避けながら滑る。新雪はふかふかで、雪は細かく舞い上がる。

部屋に帰るとお客さんはまだ眠っていたけれど、気配で目を覚まし、窓の外の吹雪の景色を見て「だめだな。」と呟き、私は服を脱いで、ベッドに入る。

さよなら。いい子みつけるんだよ、きみたち。


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