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2002/06/30(日) 「エプロンをかけためんどり」「アンジュール」そして「おおきな木」
私はこの三つのお話を、妹と弟には読ませていない。いまの仕事を始める前から、まだ読ませない方がいいって、漠然と思っていた。

安房直子さんの「エプロンをかけためんどり」は幼い三人の子に心を残しながら天に召されたお母さんにかわいがられためんどりが、お母さんの心を少しでも継ぎたいと思って、エプロンをかけてその家庭にやってくる。お父さんも重宝がって、家事一切をそのめんどりに任せる。いつしか子どもたちはすっかりめんどりになつくんだけど、お父さんはそれがだんだん嫌になってきて、新しい奥さんを迎えようって事になる。その婚礼の準備もめんどりはいそいそとしているんだけど・・・・。思いもよらない、いえいえ、約束された結末がそこにあるんだよね。

ガブリエル・バンサン の「アンジュール」は、姿さえ見えない手につかまれた犬が、車の窓から投げ捨てられるシーンから始まる。それでも犬は、追っ掛けて追っ掛けて、必死で走って、見えなくなってゆく車を、ただただ見つめている。普通の童話なら、波瀾万丈の冒険があって、劇的な再会があって、そして幸せな結末が描かれるんだけど、このお話はそうではない。出会いはあるけど、それは・・・・。

「おおきな木」はこの3つの物語の中では、一番知られているかも知れない。「ぼくを探して」から「ビッグ・オーとの出会い」の倉橋由美子さん訳の三部作で有名なシェル・シルヴァスタインの作品だ。この物語は読むときの、自分の心と立っている場所で色んな表情を見せて、違った印象を私にくれる。それぞれのシーンで繰り返され、印象深いラストでも繰り返される「それでも木は幸せだった」っていう言葉は、形は違うけどいつも心に入ってくる。

あらすじを全部書いてしまいたい気もするけれど、それぞれのお話は、私の心に映った姿でしかなくて、きっと書いてしまったらその本のほんとの姿からは離れてしまうような気がしている。

妹と弟は、一年と少しの時が過ぎて、やっと笑えるようになってきた。他愛無い事で喜び、悲しみ、そして怒ることだって出来る。私にとってのこの3つのお話は、大人になる扉になった気がするし、今の風俗という仕事をしてゆける、大きな支えになっている。妹と弟には、もう少しだけ子供でいてほしい。私はリバーシブルな暮らしをしているけど、父さんが残してくれた3つだけの命なんだから、当分急いで大人になるのは、私だけでいい気がした。今年最初の桃を二人に剥いてあげながら、なんだかそんな事を思った。


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