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2003/09/30(火)
sideA:ここにある今日
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10ヶ月が経っていた。私のカラダはずいぶん女になっていて、ブラジャーのカップはCからEになった。去年買ったウエットスーツはかなりきつくて、レザーのライダーズはフロントジッパーが上がらない。そろそろ諦めてオークションで売ることにする。
大学生になった。去年の梅雨の頃、受験生とソープ嬢という二つの暮らしで少し壊れかけていた時、私は日記を書いてみた。ウェブで晒す私の暮らしは、他の日記を読めば読むほど異質な日々で、でもそれを晒したことで幾つかの言葉を得た。今の私は第一志望だった学科で学ぶことが出来ている。あの頃の私に、ネットだけで関わってくれたみんなに、お礼を言いたい。ありがとう。
お店も移った。ソープ嬢になった頃の私は、まだ少女の香りが強くて、それはそれなりに好んでくれるお客様もいたけれど、やはり層は限られていた。まだ身長さえ伸びていたし。
ピルを飲み始めてから、一枚、脂肪の皮を被った気がする。体重に殆んど変化は無いのだけれど、筋肉を脂肪が包んでいて、うんざりするほど、女の身体になった。子供を作る事を拒絶する薬が、身体を男好きするように変えるって、なんだか人間の性を象徴していて可笑しい。
少し変わっているテーマで、少しユルそうなサークル入った。学校は7月に七夕祭があって、11月に秋祭があるっていう、へんてこな学校だ。って七夕祭は学祭ではなくて、地域交流の行事だけど、模擬店を出すということでは同じだ。講義は面白い。勉強ではなく少し学ぶと言うことが判るような気がしてくる。
夏休みは思い切り稼がせてもらった。貸切も多かったし、予定以上の収入があった。高校生の頃は、学校の勉強と受験勉強とソープ嬢を掛け持ちするのは、時間的に辛かった。ソープでの仕事も慣れていなかったし。
学校の人達は、ソープから一番遠い処にいる。学生達は殆んど挫折を知らないし、教授達の殆んども挫折という言葉を辞書でしか知らない成功者だ。ソープのお客様や女の子達の殆んどは、やはり「挫折」を知っている。それは叶わなかった初恋から始まって、叶えてはいけない恋だったり、思い通りに行かない人生だったり、ほんの少し掛け違えてしまったボタンだったり、突然降りかかった思いもよらぬ運命だったりと、様々ではある。
挫折をテーブルにして、でもその上には、ピンクの花柄の大きなクロスをかけて、それを挟んで私達はお茶を飲む。風が吹くと、挫折の足が見えたりするけど、見なかった振りで私達はお茶を飲みつづける。ソープってそんな処だと、最近私は思うようになった。
今日が行く。明日も嫌な事が少ない日でありますように。
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