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2004/05/04(火)
side A : 風の吹く日
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鳴りが聞こえている。遠い旅路を終わる波達の別れの歌が、私の部屋まで届き、南の強い風にお庭のお花をみようと開く、小さな出窓から入ってくる風にも、潮の香りがする。
一瞬、雲の切れ目から陽が射して、殻を落としたばかりのポピーの花を、透き通った色に見せてくれる。
少し落ち着いた空に、一瞬、傘をさした月が見える。
もう10日間、ソープの仕事を休んでいない。その間、祭日や休日は通しで入り、結局オールナイトの貸切にも3日出た。私はすこしずつ「おねぇちゃん」の顔が薄くなり、ソープ嬢としてはいい顔つきになっていく。
風が止んだお庭には、ポピーの花びらが散っていて、今日の朝、写真を撮った、殻を落として開きはじめたばかりだった、あんなに透き通っていた色の花びらも、全部散っていた。
ちょっとがっかりして、折れてしまった何本かのアジサイの枝にテープを巻き、添え木をする。 でも、その枝の先端の花芽達には、それぞれの今から現れる色が見えていて、明日は立夏だと気付く。
風が古い季節を連れて行き、そして連れて来る、新しい季節は、何を見せてくれるのかな、なんて、思ったりした。
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