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最新の絵日記ダイジェスト
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2005/09/17 side A : ひまわり
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2004/11/18(木) side A:    船  あるいは 海の夕陽 
日暮れ前最後の船が着く。

待っていたはずなのに

「夕陽が綺麗だから」

なんて

そのまま海を見つめていた。

汽笛が鳴って

声をかけられて

私はタラップに足をかける。

「きっと夕陽は船からの方が

綺麗に決まってる。」

なんて、自分に言い聞かせる。

岸から離れて、船はゆく。

夕陽はやはり綺麗で、

ホッっとする。

向こう岸に着くまでに

夕陽は沈み、夜が訪れ、

そして私は

船に乗った理由をもう一度

探さなければならないような

気がした。

2004/11/15(月) side A:     鍵  あるいは 導きの光
理石の壁に影が伸びる。


後ろへ戻る以外に、

入り口は一つしか見えなくて

一つだけの鍵をポケットの中で

確かめながらそのまま進む。


並ぶドアは導きの光の狭間に沈んで、

開く向こうにあるのは、

試練なのか祝祭なのかは

窺い知ることは出来ない。


その一つに鍵を差し込んでみると、

ドアは開いた。


暗闇の中で、灯りを探す。

淡い灯りしか、探せなくて

半分はまるで、何かを阻む

格子のようだとしても

何も見えないよりは、少しはいい。


見えれば、必ず、何か、思える。


その鍵で、他のドアが開いたのかどうかは

確かめる術は無いのだけれど。

2004/11/04(木) side A:     陽だまりの色 
お陽さまの光に少しセピアがかかる。そして影は長い。その色は街に降って、そこここに出来る陽だまりに、丸まる猫たちを暖かに包む。

二週間が経っていた。

少し私には変化があった。そのことは、まだ言葉に出来ないけれど、9月の初めの事とも繋がっていて、暮らしも少し変えなければならない。

16歳のあの日からの、いろんなことを思い出す。

地図帳のあのページには、過ごすはずだったあの国のあの街の地図が挟んであって、そこに行けなかったことが、一番の蹉跌だと思っていた。

何度かその事で泣いたし、机を思い切り殴って、お箸が持ちにくかった日もあった。

カラダを売るようになってすぐの頃、足の付け根に残っている異物感に、電車を乗り換えるたびに駅のトイレに入って、なんだか開いたまんまになってしまっているような気がするヴァギナの入り口を、何度も何度も指で確かめていた日もあった。

大人っぽいと思っていた下手な化粧をし、似合わないJ&Rのスーツを着、むせないようにカプリのメンソールをふかしていた、出待ちのデートクラブの事務所では、こぼしてしまったお茶を急いで拭こうとして、ポケットから取り出したハンカチには、くまのプーさんがついていて、慌てた。

模擬試験を受けた2時間後には、マットでサービスしていたし、くぐり椅子で壷洗いをお客さんに褒められた3時間後には、同窓会で、一番子供っぽいって笑われた。

カラダを売るようになってから、涙は何度も流した。

でも泣いたのは、両手の指の数よりは少ない。

もう、4年以上の日々が過ぎている。1500回以上の夜があり、そして朝は来て私は生きている。

生れて7500回ちょっとの朝に、きっと7000回くらいは「おはよう」と言って、もう5分の一はソープ嬢の私が、「おはよう」と言った。

陽だまりの色に、咲き始めたパンジーが少しだけ染まる。

ずっと、ずっと、おばぁさんになるまで生きて、いつか、私も陽だまりの色になりたい


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