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2004/12/25(土)
side A : 北風の中の花火 あるいは 妹
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新しいヘルメットは妹に渡す。グローブの冬用も。弟は、友人達とのパーティーへでかけ、祖母はケアハウスの催し物へでかけた。
初めて妹の乳房を背中に感じる。ぎゅっとしがみついてくるその身体は、もう大人で、でもヘルメットごしに聞こえる声に、ふざけておんぶしていた幼かった日がよみがえる。
冬らしい凛とした風の中で、薄めのレザーのグローブでアクセルをまわす。凍るほどではないのだけれど、指がキュンと冷たくなるのがわかる。
海浜公園を越えて左へゆっくり道は曲がる。そしてまた右へ。
どう伝えていいのかわからない妹が、ぐっぐと手に力を入れる。そして、「キレイッ!」って大きな声が聞こえる。
少し渋滞が始まる道の右手には、江ノ島の展望台の光が見える。そして瞬く。
私と妹は、手をつないで歩いた。手をつないで、花火を見た。
「ごめんね。がんばるね。」
妹がポツリと言う。私はうなずく。
「また、たまにはデートしてね。」
妹は、はにかむ。
だいじょうぶだよ。だいじょうぶにする。きっと。
私がどうなったと、したって。
ドンと、ひときわ大きな花火が上がって、おしまいの合図になる。
片手を上げたスノーマンに「またくるね」って、妹がはずんだ声をかける。
祝祭は必ず終わる。
きっと明日にはスノーマンはいない。
でも、私も「また来年ね」ってポンって、ハイタッチをしてから、お家に戻った。
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![](/user/reversible/img/2004_12/25.jpg) |
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