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2004/07/30(金)
side B: そして学生としての夏休みが始まりソープ嬢としての夏が始まる
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去年の試験期間は、仕事を休んだ。そして、試験期間は完全に学生になってしまっていて、ううん、学生だけでいたいと思って、でもお金のことが気になって、気になって、試験が終わると同時に通しでスケジュールを入れ、朝からラス前まで個室や外出先のベッドの上で、学生の心のまんまで仕事をしていた。
足を開くときに、キャンパスの風景が浮かび、性器を愛撫している時に、おずおずと好意を私に伝えたくて、でもそれができなくて、顔を赤らめる先輩が浮かんだりした。
調べたい事が頭に浮かび、頭にメモしながら、コンドームを口に含んで装着し、頭を振って裏筋を舐めていた。
そんな事を思いながら一日に何人ものお客さんの性器を受け入れ、その何倍か射精を誘い、そして何十倍もキスをした。
紙とインクの真新しい香りのするテキストを一ページずつ丁寧に開いて、教壇から溢れてくる新しい知識や感動を、ノートに、頭に残そうとし、残せたつもりで臨んだ試験で、どこかで漏れてしまった一つ一つに愕然とし、自分の能力の無さを呪った。
ソープの仕事で時間がタイトなことを言い訳にし、自分を哀れむ気持ちが広がって、学生だけでありたいと望み、それは叶うはずもなく、そしてソープ嬢の自分を嫌った。
そして私は壊れていった。
今度の試験中は、仕事を入れた。冬の試験は迷いがあって、まだその期間は休んでいたのだけれど、スケジュールをお店と相談し、最低限の仕事を入れた。
それでもやはり、嫌な自分は現れはしたけど、試験の手応えは1年次とは比べようも無く良くて、でも念のために、試験後の3日間は待ってもらっていた外出と貸切だけから、長時間の仕事を始めた。
なんとかなりそうです、私。
夏休みは思い切り仕事に入ることにする。でもそれ以外の空き時間は、思い切りはたちで学生の私も暮らしたい。
うじうじしている時間を、両方にまわせば、去年よりはマシな夏が来る、きっと。
明日は、やっと咲き始めた行灯造りの朝顔と小さなプランターの松葉ボタンを母の病院に届けてから仕事へ行くことにした。
二度とはない、20歳の夏が始まる。
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![](/user/reversible/img/2004_7/30.jpg) |
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