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最新の絵日記ダイジェスト
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2002/08/03(土) side A ★ 海、そして花火
今日の予備校は一時限だけだったんで、一度帰って来て久しぶりに海に入ってきた。なによりお天気がいい。海水浴の人達が多いので、今日はBBを連れていく。フィンは小さい方を一応持って行った。

波は腰高くらいは立っていたけど、やっぱりとっても混んでいる。このくらいの波だと、バドリングだけでテイク出来るので、水着だけで波に乗る。さすがに、人込みに恐れをなして、下手なサーファーは海には入れずに、ロングボードを巧みに操る地元のおじさんサーファーを眺めながら、一緒に来ている彼女に薀蓄を垂れたりしているのも微笑ましい。

足がちょうど立たないくらいの場所で波を待つ。少ない大きな波は、ボードの人に譲って、小さ目の尖った波を見つける。今日は、ただただ、のんびり波に乗っていたかった。

やっと泳げるようになった頃、私はもう波に乗っていた。父のロングボードにちょこんと座って、エッジを必死で掴んでいる写真がある。父はまだ青年で、同じ日に撮った写真の中の母には、まだ少女の色がある。その写真に写っているのはこの海で、そして、この海で家族で過ごすために、父はお家を建てた。そして私に波乗りを教えてくれて、自分のボードを貸してくれて、私は独りで波に乗るようになった。

私に今のボードを買ってくれた頃、父はもうほとんど波乗りはしていなかった。きっといろんな物を諦めて、いろんな事を我慢して、家族のために働いてくれていたんだと思う。その頃は、そして父がこの世にある時には、そんな風に思えていなかった事がちょっと悲しい。

クーラーから何時ものようにウイルキンソンのジンジャエールを出して、ゴクリと飲む。このジンジャエールの味も父に教わった。最初は辛くてびっくりしたけど。

少し西に傾く陽を左に見ながらお家へ戻る。

「おねぇちゃん、花火の日ぐらいバイト休んだら良かったのに〜。」弟はちょっと不服そうに言う。

ごめんね、一昨年は6人で見たっけね。今年は4人で花火を見てきてね。来年はみんなで行けるといいね。

妹に浴衣を着せて、この日記をアップしてから、私はお店に向かう。

じゃ、いってきます。

2002/08/02(金) side A★そしてまた10日
空が真っ暗だ。3時過ぎに歩くキャットストリートは、どのお店もネオンや看板に灯を入れていて、思わず時計を確かめる。夏休み旅行で東京見物に来た女の子たちが、幾つものグループで通りを歩いている。何故だか判る。この街で暮らしている子達と、この街に遊びに来ている子達はどこかが違う。その子達を追い越して、運送便のお兄さんやこの街で働く人達が、傘もささずに小走りで行き交う。私は約束があって、久しぶりに渋谷で電車を降りて神宮前まで来た。

やっと、身体の痛みは薄れて来た。でも、目覚めて眠れない夜もまだある。

彼女は、お店の先輩で今年の春、上がった。今は資格を生かして、昼の街に溶け込んでいる。無理を言って、会いたがって、理由は言わないそんな私に、即、時間を合わせてくれた。

今度の事は、お店ではあまり話せない。事件ギリギリの本当の内容は、女の子達を不安にするし、控え室でも「ちょっとしたトラブルでお客さんに手を出されちゃった私」はへらへら笑っている。心配してくれる子がほとんどだったけど、「いいな、ちょっと手を出されただけで、休業補償までもらえるなんて」ってあからさまに言う子もいる。へらへら笑っていると、ザックリ切れていた口の中の傷が、引き攣った感じがする。

彼女は聞いてくれた。表参道のカフェの隅の、あらかじめ私を壁向きの誰にも顔が見えない位置に座らせてくれて、私は話した。そしてあの日から今日までの毎日の私も。

「もしなんかあったら、もっと早く連絡する事」

別れ際に彼女はそう言ってくれた。

カフェから出た街は、さらに暗くなっていて、アスファルトを大粒の雨が打ち、空にはイナズマがはっきり見えていた。

彼女は居てくれた。居てくれるだけでこんなに助かるんだなって思いながら、きょうは深く眠れる気がした。今からお店に出た後にではあるんだけど。


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