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2005/11/19(土)
鏡の欠片 1章
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*1章*
歩き始めて、早3時間が経過。【キャッスル】はまだ姿を見せない。というか、見せる訳が無いのだが。 そろそろ喉が渇いてきたし、足も痺れてきたし、昼時だし・・・と自分にことごとく言い訳をして、休憩することに決めた。 といっても、水も無ければ食料も無い。 そもそも魔法を使ってここまで飛んでくりゃ良かったのだ。 集中力を高める。ロッドを強く握り、星のモチーフを額につける。 「飛燕!!」と叫ぶと同時に、光が漏れ出す。 ―――が。 いきなり杖はぷすぷすと煙をあげ始めた。 「っっえぇ〜!?」 ・・・何にも起こらなかった。イメージしてた箒が、手の中のどこにも見つからなかった。こんな初級魔法の失敗は初めてだ。かなり恥である。 「師匠には、死んでも言えないよぅ・・・」 もともと姫璃は、魔法学校でも飛び級し、さらに首席で卒業(言うまでも無くテストは前代未聞の満点続出)、更には卒業すると同時に師匠の下につけるというほどのエリートだ。 普通は学校を卒業し、何らかの試練に合格しないと師匠に付く事はできないのに。 そんな姫璃が、初級の基本魔法を失敗するのは、勿論初めてだった。 ただ、姫璃を水晶玉から覗くものがいた。紫色のマントをつけているが、そのマントは普通のものよりも豪華で、金糸の刺繍や紋章が沢山縫い付けられていた。杖も2m程の巨大なもので、水晶やルビー、サファイヤなどが散りばめられていた。 それが表すもの―――――王。もしくは直属の部下。 誰が姫璃の事を見ているのか、姫璃自身には知る由も無く、ただただ落ち込むばかりだった。
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